再入院した時のこと。 | りぼんの日記

りぼんの日記

ある日夫が突然失踪。その原因は脳腫瘍(悪性リンパ腫)でした。わずか2ヶ月の闘病生活を経て2022年9月10日53歳でこの世を去りました。夫の闘病の記録と残された私と3人の娘の今を綴っていきます。

前回の続きを書きます。





前回のお話しはこちら『夫が頭痛を訴えた時のこと』夫が在宅療養中に激しい頭痛を訴えた時のことをお話ししたいと思います。2022.8.19深夜寝ていた夫が「頭が痛い」と言って起きてきてトイレに行き大量嘔吐した。…リンクameblo.jp





2022.8.20



夫は

前日の夜から続く激しい頭痛と頻回な嘔吐で

前夜からずっとグッタリしていた。




私は早朝から体調が悪くなり発熱した為

夫の看病を長女に引き継いで

別室で自主隔離することにした。




長女と後で来てくれた義姉が

夫の看病をしてくれており

激しい頭痛を訴える夫になす術がなくて

困っていたが

長女がネットで薬の事を色々と調べてくれて

家にあった違う痛み止めを飲ませたところ

少し落ち着いたようで

日中はまどろんでいたようだ。




食欲はなく、ゼリーを少し口にしただけで

ほとんど何も食べれなかった。




夕方から再び激しく頭痛を訴えて

苦しみ出したようで

長女が「病院に連絡していいか」と

何度も聞いてきたが

それまでのやり取りに辟易していた私は

「何度病院に電話しても無駄だ」と伝え

半ば諦めていた。




それでも

義姉が何度か病院に連絡してくれたが

病院は頑なに受け入れを拒否したようで

業を煮やした義姉が

「救急車を呼んでもいいか?」と尋ねたら

「それはご家族の判断に任せます」

という返事だったそうだ。




苦しんでいる夫を目の前にして

何も出来なくて困り果てている私たち家族

頑なに受け入れ拒否のがんセンター




一体どうすればいいのだろう…






夜になって夫はとうとう意識朦朧として

起き上がれなくなってしまった。





もう私たちでは手に負えないので

救急車を呼ぼう!ということになり

義姉が119番した。




救急隊が来てくれてたものの

それでもなお受け入れを渋るがんセンター




「この状態で二日後に自力で受診しろと言われても無理です!女ばかりの家族で大柄な夫を、しかもこんな状態の夫を病院までどうやって連れて行ったらいいんですか?」

「それまでに夫に何かあったら

どうするんですか?」

「私たちは入院させて欲しいといってるんじゃない。今の夫の状態を見て欲しいだけです!」



必死で救急隊員に訴えた。




救急隊員も夫の様子を見て

「これは無理やなあ。」

「がんセンターには言うてみるけどそれでも

拒否されたら行くところがない。」

「コロナの事があるから

他の病院にかかってる人を

受け入れてくれる病院を探す方が難しい。」

と言いつつがんセンターと掛け合ってくれた。





ずいぶん時間がかかったが

ようやくがんセンターが受け入れてくれることになり救急車に乗ることになったが

夫はグッタリして身動きひとつしない。




2階のリビングに寝かせていたので

自力で降りるか

抱えて降りるか

簡易な担架を持ってくるか

救急隊員も考えあぐねていたらしい。





「ご主人ー!起き上がれますか?」

何度も話しかけるが

夫は唸り声をあげるが言葉にはならない。




私は遠巻きに様子を見ていたが

どうにもならないようだったので

「もう抱えて降ろして下さい。」

と頼んだ。




救急隊員が3人

2階のリビングに上がって来て

抱えて降ろそうとしたところ

最後の力を振り絞るかのように

夫が起き上がり

隊員に介助されながらようやく玄関まで

降りることが出来た。




玄関には義母が心配そうに待っており

救急車に乗り込む様子を見ていた。





誰が救急車に乗って付き添うか話し合っていた時

三女が「自分が行きたい!」と強く訴えたが

未成年のため

病院での対応が難しいだろうという事で

義姉と次女が乗って行くことになった。

(コロナ禍で2人までしか乗れないと言われた為そのような対応になった。自家用車で後ろをついて行くという方法もあっただろうが、我が家で運転出来るのは私と夫だけ。私は発熱していた為

家族との接触も避けていたのでそれは出来なかった。)




その頃にはもうすっかり日付が変わっていた。




病院に到着した日だけICUに入り

翌日には以前入院していた病棟に転科した。





夫はこの再入院を最後に

2度と家に帰って来ることは出来なかった。




私は今でも救急車のサイレンを聞くと

この時の事を思い出して胸が苦しくなる。