○ あかねこ餅
本日、あかねこ餅が手に入りました。これはもち米&小麦粉の餅で、近所では「はげっしょ団子」とも呼んでます。
はげっしょとは、半夏生がなまった言葉で、ちょうど半夏生の頃に食べる餅なので、この名前が付いたとか。
呼び名は地方によって様々ですが、本来は「小麦餅」と呼ばれるものでしょうね。
食感はモチモチしてません。なので自分の好みなんですね
もち米は体を強力に温めるので冬には適してますが、暑い夏には適しません。一方、小麦餅は体を温める作用は少ないし、多く食べても胃もたれません。なので、夏に適した餅だと言われます。
おいしくいただきました
○ 日本の茅葺屋根
さて、神宮の建築に多く見られる「長板葺」と「茅葺」。今回は茅葺ですね。
因みに茅とは、ススキやチガヤなどのイネ科やカヤツリグサ科の草本の総称とのこと(ウィキ)。
茅葺屋根といえば、イメージするのはやはり古い農村でしょうか。かつての日本の農村では、どこでも見られる最もありふれた屋根でしたからね。
しかし現在は、村の共同葺き替え体制の衰退や茅場の消失、消防法による規制などによって、茅葺屋根は極小になってしまいました。
茅葺屋根を多く見ようと思ったら、今では白川郷や京都美山(上写真)など、茅葺屋根を売りにするような場所に行かないと駄目でしょうね。
京都美山には行きましたが、写真が消失 残ってるのはスマホで撮った上の変な写真のみ^^;
これは、また行かなければなりません ・・・・って、最近こんなパターンばかりで(^▽^;)
萬徳寺書院(1677年、小浜市)☆
ところで、日本において茅葺屋根は、古民家に留まらず、神社仏閣のような格式高い建物にも使われてますね。
これは中韓をはじめ、他国ではあまり見られないことではないでしょうか。
格式高い建物にも使われた理由は、日本には豪雪地帯が多く、特にそれらの地域では瓦屋根が適さなかったため、茅葺のような雪にも寒さにも強い屋根葺材が選ばれたからかもしれません。
さらにもう1つの理由として、日本の茅葺屋根の持つ重厚な雰囲気が好まれた面もあったように思います。
他国の茅葺屋根に対し、日本のは葺厚が分厚く、1mを超えるのも珍しくはないですが、この分厚さはやはり印象深いですね(※注)。
なので、この分厚くて重厚な雰囲気の日本の茅葺屋根は、格式高い建物に用いても決して見劣りしないどころか、相応しくさえ思えます。
羽黒山・三神合祭殿(重文・1818年、山形市)☆
「日本の茅葺屋根は、格式高い建物にふさわしい」・・・・・それを特に思ったのは、上の写真の羽黒山・三神合祭殿を見たときでした。
この建物は、茅の厚さだけで2mもあるそうで、覆いかぶさるような茅葺屋根の迫力は、ただ事ではありませんでした。
「この迫力、重厚感は、他のどんな屋根葺材でも真似できないのではないか・・・・・」
そんなことを、この建物を見ながら考えたんですね。日本の茅葺屋根は、本当に凄いと思います。
○ 茅葺屋根の耐久年度は?
ところで、茅葺屋根はどれくらい保つのでしょうか。自分が羽黒山に行ったとき、ちょうどタイミングよく屋根を補修中でした。
いや、もしかしたらこれだけの茅葺屋根ですから、しょっちゅう補修しているのかもしれませんけど^^; (実際、三神合祭殿は、毎年20~25%葺き替えしているそうで)。
綾部安国寺仏殿(1743年、綾部市)☆
これは写真の綾部安国寺に行ったときの話ですが、ちょうど住職さんのお話を聞くことができました。
「関西で茅葺の仏殿とは珍しいですね。」
「そうですやろ。でも、維持していくのが大変なんですわ。」
「どれくらいで吹き替えたはるんですか」
「10年ですわ。それ位しか保ちませんねん」
茅葺屋根の耐久年度は、それまでの自分はだいたい30年ほどと思ってましたので(白川郷の記憶がありました)、10年という短さに驚いたものでした。
しかし、これは内部から囲炉裏の煙などで燻された場合の話。なので、天井が張られ、燻されることのない場合では、到底30年など保つはずがなかったわけです。
信濃秋山の家(旧山田家住宅)、重文、18世紀、日本民家集落博物館(豊中市)☆
そのことを痛感したのが、上の写真の秋山郷にあった古民家を訪問した時でした。拝観した時点で、茅葺屋根が葺き替えて50年目との説明でしたね。
「茅葺が50年保つんですか!」
「そうです。内部は腐ってないから、あと10年は大丈夫でしょうね。」
ということは、60年以上
囲炉裏(この時は竈でしたけど)の煙が充満した秋山の家の室内☆
「家はやはり、生活しないと駄目になりますね。毎日換気して、掃除して。」
「そして、囲炉裏の火を入れることも大切。この家は何百年も囲炉裏の煙で燻されてきました。今日は竈だけど。その結果、木がさらに強くなったし、茅葺屋根がこれだけ保ったのも、そのおかげでしょうね。」
・・・・・なるほど、それで古民家の茅葺屋根は長く保ち、神社仏閣の茅葺屋根は早くに痛むわけですね。
因みに茅自体も、その生育条件で 葺いた後のもちに差が出るんだとか。寒冷地で、土地がやせて風当りのきつい場所に生えていた茅ほど、長持ちするそうで(青森の茅は50年、沖縄の茅は5年という意見もありました)。
東北地方に茅葺建物が多いのは、この辺にも理由がありそうです。
古民家の茅葺屋根の方が長く保つ・・・・とは言え、いくら古民家でも、いまだに囲炉裏を使用し続けている家は少ないでしょうし、天井を張ってる家も珍しくありません。
なので最近は、茅をできるだけ長く保たせるために、その上から別の屋根葺き材で覆った建物が多くなってますね(上の写真のように)。
さて、長くなったので、一旦区切ります。つづく☆
※注(興味のない人は、スルーして下さい)
日本の茅葺屋根の分厚さの原因は、茅を葺くとき、根元を下にして葺いているからだそうで。
茅は根元の方が太いので、それを下にして葺くと、屋根勾配が緩くなってしまいます。なので、勾配を強めるために、余分に葺き草を詰めているんだとか。
根元を下にして葺く方が耐久力が増すようですが、かなりの茅の量が必要になり、また、その大量の茅を葺くのにも高度な技術が必要だったため、かつては上流階級専用の葺き方だったようですね。