前掲本つづき

人々の行動のほとんどすべてと言っていいほど、その動機はお金を得ることにあります。そして、お金を得るにはそれにふさわしい何かしらの働きをしなければなりません。その働きは、肉体労働もあれば、何か技術を身につけて、その技術を提供することも、また、専門的な分野の研究をすることもあります。


いずれにしても、それらは、会社の発展と成長のため、あるいは社会に貢献するため、そうした名目上の目的があったとしても、個人にとってはお金を獲得することが目的となります。


ですから、自分の提供する働きにいくらの値段がつけられるかという点がとても重要になります。


働きに値段をつけるためには、人々は常に評価にさらされることになります。ですから、所得が多ければ、その人はそれだけ価値ある労働を提供していることになり、反対に所得が少なければ、その人の労働には大した価値がないという判断をされたことになります。そのような 評価は職業別にも投影されています。


ですから、職業にさえも評価の基準があり、人々は常に何かを選択する際に評価を意識し続けなければなりませんでした。少し前のことで言えば、より偏差値の高い高校、大学を卒業して、一流企業に就職しなければならないとか、国家公務員資格を取得したほうがいいとか、手に職をつけるためにたくさんの資格を取得するとか、先生と呼ばれる教師、医師、弁護士、会計士になるといいとか……。ほんとうに自分のやりたいことを職業に選ぶのではなく、社会的な保障の高い職業を選ぶことが幸福だと思って、結果不幸な人生にしてしまうケースがほとんどでした。




サアラ『地球人が知らないお金の話』

大和出版