『カールの罪状』 『特捜部Qシリーズ』
現在、日本で刊行されている『特捜部Qシリーズ』中※1最も新しい作品である。
500ページ以上の作品を集中して一気に読んだ。主人公カールと特捜部の面々(アサド、ローゼ、ゴードン)の何とも言えないチームワークと、意識のズレの面白さ‥‥。さて本題に入ろう。
35年以上前から現在に至る、同一犯人による、サイコ的な殺人事件の顛末が本作のメインストーリーである。
が、今回は主人公カール(特捜部Qのトップ)が、過去の犯罪に関わっていたと思われる証拠が彼の家から発見され、警察から指名手配犯的な扱いをされており、逮捕される期限が迫っているのである。
そんな状況の中での、犯人探しという重層的な構成がスリリングである。
また、サイコ的な犯人を追う、特捜部メンバーの活躍が、まことに見事に描かれていて、読みだしたらやめられなくなった。久しぶりに警察ミステリの醍醐味を堪能することができた。
ラスト、ようやく犯人を逮捕したQチーム。しかし主人公カールは警察に連行されてしまう。
カールの運命は?そしてどんな結末を迎えるのか。ーそれが次回作のテーマである。
そして、その次回作が、特捜部Qシリーズ最後の一作になりそうなのだ。
※1特捜部Qシリーズ最後の1作は、2024年夏刊行予定である。