【柔道部物語:学生ホールの幽霊事件】

 学校という所は、多かれ少なかれ怪談話が一つや二つあり、明治創立の我が校でも様々な怪談話が存在いたします。

 

 今回は、そんな怪談話を利用したイタズラを仕掛けた時の事をお話致しましょう。

 

 千葉県出身で、眉毛を少し細くカットし、ひたいを少し剃っている(剃りこみ)、いわゆるツッパリファッションをしている後輩がいます。

 

 体育推薦で入学して来る位なので、柔道の実力は、ある程度有るのですが、見た目とは、裏腹にとても弱虫で、特に怖い話が大の苦手らしく、怖さがマックスに達してしまうと、泣いてしまう事も多々ありました。(怪談話でよく泣かしておりました)

 

 当時、夜の学生ホールに学ランを着た幽霊の目撃情報があり、柔道部内でもその噂で多変盛り上がっていました。

 

 ある日、後輩の一人から、この噂を利用し千葉県出身の後輩にいたずらをしようと計画を持ち掛けられましたので、稽古以外は何でも積極的な柔道部員ばかりですので、あっという間に、プロジェクトチームが結成されて、準備する事となりました。

 

 体育寮は、校舎裏にあり、学生ホール迄、歩いて2~3分なので、小腹のすいたときになど、夜中の学生ホールへ、カップ麺の自動販売機目的でよく行くので、この事を利用して、プロジェクト計画が進んでいきました。

 

 まず、稽古終了後に仕掛け人の後輩からターゲットである後輩に、点呼(22:00)後にカップ麺を食べに誘い、同意をとりつけました。

 

 次に点呼終了後、急いで数名のプロジェクトチームが1年生の顔にパウダーを塗り白くして、学ランを着せ、非常灯が薄く光る、真っ暗な学生ホールの陰に待機させておりました。

 

 点呼も無事終了し、学生ホールに仕掛け人とターゲットの2人で向かい、カップ麺販売で購入し、お湯を入れて出来上がる間、仕掛け人がトイレに行く事を理由に薄暗いホールにターゲット一人残します。

 

 待機していた幽霊役の後輩に合図を送り、非常灯が灯る薄暗い学生ホールの端にひっそりと立たせておきます。

 

 熱湯が注がれたカップ麺を前に、仕掛け人の帰りを待つターゲットが、ふと視線を上げると、白い顔の学ランを着た幽霊(1年生)の姿が視界に入りました。

 

 幽霊役の後輩が視界に入った瞬間、ターゲットの恐怖心は、マックスに達してしまい、熱湯の入ったカップ麺を両手に掴み悲鳴を上げながら、猛ダッシュで寮に逃げ帰ってきました。

 

 両手を思い切り振りながら逃げてきたので、カップ麺に注いだ熱湯は、当然腕にかかりまくりでしたが、恐怖の方が勝っていたようで、不思議と火傷などは、していませんでした。

 

 この世の物でないものを目撃したと信じ切っていた後輩は、空のカップ麺を持ちながら、ぶつぶつ言いながら自分の部屋で布団にくるまりガタガタと震えていました。

 

 いたずらに大成功したプロジェクトチームの我々は、大満足で涙を流しながら、ゲラゲラ笑い、廊下で悶絶しておりました。

 

 しばらくしてから、いたずらの種明かしをした所、怒りの持っていき場に困り、幽霊役の後輩に怒りをぶつけおり、その姿を見てさらに涙が出るほど笑い転げて、体育寮の夜は、更けてゆきました。

 

 死ぬほど厳しい稽古の中、二十歳過ぎて小学生レベルのイタズラばかりして、楽しくて仕方のない毎日を送っていた、昭和も終わりころの懐かしい思い出です。

学生時代の部活動

 

 

 

 

 

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