ラグド・フラゴンに到着した。ここは盗賊ギルドの拠点なのであまり来たくはなかったのだが仕方がない。前にも言ったが嫌っているわけではないがゴールドや私財を盗まれるのが嫌なだけだ。エチエンさんもいるし。
そう思っていると意外な人物がそこにいた。輝きのアントンがいたのだ!どうしてここに?彼はラグド・フラゴンはメリディアの光の有難みを分からない者達で満ちていると愚痴を零した。しかし、これはメリディアに導かれたのだと独自解釈した。この者達に光を与えよ、メリディアは何と慈悲深いのだろうと...。中々の信仰心だな。
挙句の果てにはメリディアを信じる者に敵などいない、無敵だと豪語した。流石に疲れるので適当に挨拶してその場を後にした。
輝きのアントン「メリディアの光こそ偉大なのだ!ワッハッハ!」
パーマー「左様ですか~(棒)」
ジョバンニを討伐せよ!
その後、先に到着していたアルタノにデイドラ召喚の事について尋ねると恐るべき事実を口にした。その召喚者はジョバンニだと言ったのだ。どうやらラットウェイ・ウォーレンズに逃げ延びたらしい。それは本当にホワイトランで話したあのジョバンニか?もしくは別人だろうか?そうであってほしいが...。
アルタノ「どうかしたのか?顔色が悪いぞ?」
パーマー「いや、何でもない。何でもないんだ...」
俺達はラットウェイウォーレンズを目指した。そこでは放浪者数名に襲われたが返り討ちにして進んだ。見逃す事や幻惑魔法の鎮静を使うことも考えたがそれをしなかった。何故かは分からない。殺しへの欲求が沸いたとしか言えない。これではケダモノではないか?いや、吸血鬼だから当然なのか?いよいよ俺は狂ってきたのか?よそう、こんな事を今考えるのは...。
ラットウェイ・ウォーレンズに到着するとジョバンニを見つけた。あまりにもみすぼらしい姿になっていた。あの豪勢な服も着ておらず、どこかしら情緒不安定にも見えた。俺はデイドラ召喚の嫌疑がかけられているが本当なのかと尋ねた。すると彼はしきりに「カンパネルラ」という名前を叫んだ。
もしやジョバンニの話したくない事とはカンパネルラに関してだろうか?それがデイドラ召喚に何の関係があるのだろうか?
ジョバンニ「ジョバンニはカンパネルラを探しているよ!大好きなカンパネルラはどこ!どこなの!?」
パーマー「落ち着くんだジョバンニ!落ち着いて、デイドラ召喚の嫌疑を晴らすために協力してくれ」
ミラーク「ドラゴンボーン、奴はもう正気ではない。説得は望み薄だ...」
セラーナ「残念ですけどその通りですわ。デイドラ召喚は間違いなく彼でしてよ。マジカにその名残がありますわ。失敗したようですけれど...」
セラーナの指摘を聞いてジョバンニは不気味に笑いだした。その後自分がセプティマスしたと言った。召喚の事だろうか?スクゥーマととんがりネズミの肝臓(スキーヴァーだろうか?)を用いてセプティマスしたのだと告白したのだった。
ジョバンニ「イ、イヒヒヒヒ!そこのノルドの女の言う通りだ!ジョバンニがセプティマスした!まん丸スクゥーマをとんがりネズミと共にセプティマスしたんだ」
パーマー「なっ!どうしてそんな事を...」
ジョバンニはどうやら召喚者の女性からデイドラ召喚を教わったらしく、これで上手くいくと考えたようだ。しかし、何も起きなかったらしい。時間稼ぎに利用されたのだろう。すると今度はスキーヴァーの肝臓ではなく、俺達の肝臓を使おうと言い出した。俺達の活きのいい肝臓を使用して再び召喚の儀式をしようと目論んでいるらしい。
これはもうダメかもしれない...。これ以上ジョバンニのこんな姿を俺は見たくはなかった。この決着は俺のみで行うようにセラーナとミラークにお願いした。彼等もそれを承知して戦いを見守った。
ジョバンニ「閃いたぞ!目の前に活きのいい肝臓が3つもあるじゃないか!ジョバンニがそう言っている!カンパネルラもそう言うはずだ!!」
パーマー「ジョバンニ、もうダメなんだな...。俺は君を止めるために殺す、済まない。セラーナ、ミラーク。ここは俺だけに任せてくれ」
ミラーク「...承知した」
セラーナ「分かりましたわ。どうか悔いのないように...」
ジョバンニは拳のみで戦った。しかし、その威力は並みのカジート以上の力を有していた。魔法で身体能力を底上げしているのかデイドラの力の恩恵なのか分からないが、とにかく脅威だった。
俺はその拳を受けて死にそうになりながらも、拳の振るった隙を突いてドラゴンベインでジョバンニを斬り殺した。死に際にはカンパネルラに会いたいと言いながら事切れた。
ジョバンニ「なぜジョバンニを殺すんだ?どうして?ジョバンニはカンパネルラに会いたいだけなのに!!」
パーマー「.........」
ジョバンニの悲しき過去
ジョバンニを殺した後、俺は急に力が抜けて倒れ込んだ。セラーナやミラークの声が聞こえたが意識が遠のいたのだった。
気が付くとそこはどこかの家だった。目の前にはカジートの女性がいた。彼女がカンパネルラだろうか?俺は周りを見渡すとこれは普通ではない事を悟った。焼けた死体がいるのに普通の生活など送れるわけがない。デイドラ召喚、もしくは契約をしたせいでジョバンニの魂が蝕まれている証だろうか?
その後、カンパネルラは俺に気付いてもうすぐ朝食だと言った。ジョバンニの記憶の中だからその通りだが、どう話したものか...。
しかし、それは杞憂だった。俺が喋る言葉は全てジョバンニの言葉として変換されたのだから。変に抗う事はせずに成り行きに身を任せるしかなさそうだったのだ。
カンパネルラ「いつまで寝ているの?朝ご飯はもう出来たのよ。起きて、ジョバンニ」
パーマー「何だいカンパネルラ!(!どういうことだ!?)」
カンパネルラ「今日はあなたの好きなトマトスープよ。早くしないと冷めちゃうわ」
パーマー「分かったよカンパネルラ(このまま続けるしかなさそうだな...。)」
俺達はテーブルに腰かけて朝食を摂ることになった。カンパネルラは今日のトマトスープは自信作できっと舌がとろけるだろうと言った。
俺は次に何か言おうとしたら急に口が開いた。スクゥーマが欲しいと言ったのだ。ジョバンニはスクゥーマを常飲していたのだろうか?ラットウェイ・ウォーレンズでの奇行はデイドラに心を蝕まれた可能性もあるが、スクゥーマの使用で錯乱していたのかもしれない。俺は冗談だと言ってその会話を終えた。
パーマー「冗談だよカンパネルラ(この幸せは俺には眩しすぎるなぁ...)」
カンパネルラ「もう!ほら、スープが冷めちゃうわよ!」
どこにでもある普通の家庭。幸せの象徴のような日常。俺には何百年かかっても決して得られないもの。それはどうして壊れたのだろうか?
すると、目の前からカンパネルラは消えていた。次には豪華な服を着こなしたカジートの男性が皮なめしの棚を使用して何かを製作しようとしていた。だがその光景は何故か不気味に感じられた。
それもそのはず、このカジートこそマルソでありこの皮なめしで製作していたのは、カンパネルラの皮を使用した毛皮だったのだ。どうしてそんな恐ろしい事をしたんだ!
その理由はマルソにカンパネルラが振り向いてくれず、ジョバンニを選んだからだと言った。それでも諦めきれずにこのような凶行に及んだのだと言った。だからって理不尽過ぎる!
俺はこの行為に狂気を感じた。愛しているならば殺す必要など全くないのではないのか?俺みたいな吸血鬼が説教する資格は無いが、これはダメだろう。ジョバンニの言葉で非難するとマルソはそれは嫉妬だから醜いぞと反論した。かつては自分も醜かったが、今はカンパネルラがいるから違うのだと豪語した。見た目は綺麗かもしれないが心は、魂の方はどうなのか?それは醜くないのか?
パーマー「ジョバンニはお前を許さない(愛しているならばなぜ殺す必要がある!狂ってるぞ!)」
マルソ「嫉妬か?嫉妬は醜いぞ...マルソも昔は醜かった...でも、今は違う。カンパネルラが居る」
最後にマルソはジョバンニに別れを告げた。カンパネルラと一緒ならばスカイリムの冬も寒くないと言って俺の目の前から消えた。
そういう経緯があったのか...。ジョバンニが頑なに言いたくなかったのも思い出したくなかったのも全てこのため。デイドラ召喚に手を染めてでも愛する妻を取り返したかったのだ。
マルソがスカイリムにいるならば見つけ出さねばならない。すると、ドラゴン・プリーストに似たデイドラに襲われたのだ。戦う直前になってジョバンニの声が頭の中に響いてきた。このデイドラはエンプーサという名前で、彼の心を蝕む元凶でもあったのだ。
ジョバンニ「こいつだ!!こいつがジョバンニの中にいる!!追い出してくれ!!」
パーマー「ああ、分かったよジョバンニ。君のためにここで殺そう!」
冷気魔法を得意とするエンプーサだったが相手が悪かった。俺は吸血鬼なので耐性がしっかりある。俺はドラゴンベインで斬り殺してジョバンニの心を救った。その後は、マルソからカンパネルラを取り返してほしい、これが最後のお願いだと彼は言った。俺はそれを了承した。彼等を救うためにもやるべきだ。
ジョバンニ「ジョバンニの代わりにマルソからカンパネルラを取り返してくれ!!ジョバンニの最後のお願いだ!!」
パーマー「分かったよ、約束だジョバンニ!」
そしたらまた意識が遠のいた。気が付くとラットウェイ・ウォーレンズに戻っていたのだ。ジョバンニの遺体を失敬するとスクゥーマを5本も持っていた。やはり常飲者だったのだろう。カンパネルラと生活するようになってからはしなくなったが、マルソに彼女が奪われてからはまた常飲するようになったという流れだろうか?
それと今までの事件と同じくジョバンニも赤い石の欠片を所持していた。これも貰っておこう。なぜかは分からないが衝動みたいなものなのだ。持っておかねば気が済まないというか...。
マルソを殺し、カンパネルラを取り返せ!
俺はセラーナとミラークにジョバンニの過去を説明し、今度はマルソを捜索する事になったと伝えた。彼等は快く了解してくれた。リフテン中を探す必要があるかと思ったらラットウェイ・ウォーレンズを出たすぐ近くのベットで呑気に休んでいるのを見つけた。カンパネルラは温かく、マルソは幸せ者だと独り言を言っていた。手間が省けて良かった。返してもらうぞ、彼の妻を。
なるべく穏便に済ませるために俺はカンパネルラを返してもらうようにお願いした。素直に返したら帝国軍兵士に突き出すだけで終わらそうと思ったからだ。しかし、すんなり言う事を聞くマルソではなかった。彼は俺を罵り、ジョバンニの臭いがすると言い放った。どうしても返す気がないらしい。
マルソ「嫌だ!嫌だ!やっと一つになれたのにどうしてそんな!!ひどいこと!!マルソはお前が大嫌いだ!」
パーマー「そうか。奇遇だな、俺も同意見だ。お互い決着を付けるべきだと思うな」
マルソは俺に戦いを挑んだ。穏便に済ませようと思ったがこうなっては仕方がない。俺はドラゴンベインで急所を一突きして殺す事にした。
なるべく苦しめようかとも一瞬思ったが、止めた。俺は吸血鬼だがケダモノではない。故にこの怒りを込めた最大の一撃の突きを放つことで、ジョバンニの怒りを思い知らせるならこれで十分だと思ったのだ。俺はそこまで嗜虐趣味は無いからな...。
マルソ「ガァ!!い、痛いよ...。し、死にたくない。助けてカンパネルラ...。やっと、やっと添い遂げられると思ったのに...」
パーマー「...エセリウスかオブリビオンかは分からないが、逝ったら向こうでジョバンニとカンパネルラに謝ってこい!俺も後でそっちに逝く。その時までしっかり償うんだな...」
俺はマルソの遺体から失敬して、カンパネルラの毛皮を取り戻した。それと赤い石の欠片を持っていたので併せて貰う事にした。何が何でも持っておかねば...。
その後、ジョバンニが待ちきれなくなったので俺に急かしてきた。分かってるよ、長い間待ち望んでいたもんな...。
ジョバンニ「ジョバンニは待ちきれない!!ジョバンニは早くカンパネルラ似合いたいんだ!!」
パーマー「ああ、分かってるよジョバンニ」
そして、ラットウェイ・ウォーレンズに戻った後にカンパネルラの毛皮をジョバンニに返した。これで彼等の魂が報われればいいのだが...。
最後に俺達はアルタノに報告に向かった。彼は優秀な部下を持てて嬉しいと言った。複雑な気持ちになりながらも、俺達はステンダールの灯に戻る事になった。今頃ヤコブさんが召喚者の女性を捕まえた頃合いだろうからだ。