僕はショーン君の命令で理事会に出席する事になった。あまりに場違いな気がしたがこればかりは仕方がない。僕は戦闘用の装備を脱いで、インスティチュートのスタッフの服を着用して会議に臨んだ。
ジャスティンさんは僕が何故ここにいるのかを不審がった。僕としてもそうとしか思えないが、ショーン君は無理矢理会議の開始を宣言した。どうしても僕に参加してもらいたいようだった。
最初の議題は、コモンウェルス中で高まっている不安についてだ。参加者達からの報告を求めていた。
フェーズ3に向けての議題
アリーさんは施設は厳重に保護されていると報告したが、一部ではそうじゃない場所もあるようだ。地上についてはジャスティンさんが目を光らせていると言った。
その後、ジャスティンさんは監視者達はこれまで確認されている以上の脅威は示さないと報告した。ボストン国際空港は依然としてB.O.Sに占拠されたままで、他の場所でも目撃されている事、レールロードは活動を続け、前以上に「野心的」になっている事、既知の問題に関してはSRBのエージェントが監視を行っていると報告した。
ショーン君は脅威についての議題はそこそこに置いて、今度は「フェーズ3」なる案件について話を進めようとしていた。マジソンさんは僕がその話を聞くのを遠回しに非難したが、彼は参加させる方向で進めた。
ショーン君はフェーズ3についての説明のために、エネルギー問題への課題についての話を最初にしてくれた。地上でも必要だが、地下世界でもそれは同じことだったのだ。この場所全てを賄うのにやりくりしている懐事情が伺えた。
インスティチュートが前進を果たす度に、原料としてのエネルギー需要が高まるようで、その前進を止めないために数多くの妥協があり、犠牲があったと打ち明けた。僕は「この世界では妥協も必要だと思う」と答えた。
ショーン君もそれを肯定し、今までは他者を頼り、環境に頼ってきたが、その時代は終わったと言った。
そして、フェーズ3の全貌はインスティチュートが今後永久に十分な電力を供給出来るリアクターを起動するという事だったのだ。それが上手くいけば、生き残れるだけでなく繁栄も出来ると語った。大事なステップだと僕が言うと、ショーン君は控えめな言い方だと窘められた。
リアクターの稼働にはまだ試験すべき課題があるようで、それがはっきりしたのでフェーズ3に辿り着いたようだ。
その後、ジャスティンさんに地上の作戦をケロッグから僕に引き継がせるように手続きするようにと言った。地上でそれなりの戦果を挙げた僕が適任だと推薦したのだ。
ジャスティンさんは断ろうとしたが、ショーン君は一方的にこれ以上の反論は挟まない形でこの件は終了した。
後継者への推薦
ショーン君は僕達に重大な話があると持ち出した。クレイトンさんはそれを止めようとしが、ショーン君は今がその時であるとして、制止を振り切り話し出した。
ショーン君はしばらく前から、ディーンさんの治療を受けていると打ち明けた。最善を尽くしたが上手くいかず、思いつく限りの実験的治療をしたが失敗に終わってしまったと言った。
そのため、自分が死ぬだろう事実を理事会に参加している皆に報告したのだ。それは簡単に受け入れられるはずもなく、動揺を隠せない有様だった。
その病気について聞いてみると、進行の早いガンらしい。ありとあらゆる方法を試したがダメだったらしい。
その件は後で詳しく聞くとして、今問題にすべきはインスティチュートの未来についてだとショーン君は言った。
生き残るためにはリーダーシップが不可欠だと彼は言い、そのための理事会は全ての者の利益を考慮して管理していかねばならないとし、後継者になんと僕を指名したのだ!
僕としてはいきなり重大な責任を負わされた訳だけど、参加者達は非難の声が多かった。まぁ、そうだよね。本来ならネイトさんかノーラさんがそれを受けるべきだもの。こんな赤の他人が受ける資格なんかないんだよ。僕はいたたまれなくなった。
ジャスティンさんはどうやって正当化するのかを問い質してきた。一員でもなければ科学者でもないのにと、至極ごもっともな指摘をしてきた。本当にその通りなので、僕としても反論出来ない。
ショーン君は反抗する皆をやり過ごし、インスティチュートには十分な科学者がいるので必要なのはリーダーであると言った。僕にはその適正が十分にある事を証明していると後押しして、この会議を終わらせた。いやぁ、僕はそんなに頭が良くないし、選択ミスな気がするけどなぁ...。
会議は終了し僕はショーン君の下に行き、ガンだった事は知らなかったと言った。彼も一度に受け入れるには難しい話として、前もって打診もせずに責任を押し付けた事を謝罪した。強引だったのは余命幾許も無かったからこのような行動に出たのだろう。
僕は責任を負うとはどのような事を指すのかを聞いた。ショーン君はインスティチュートのほとんどの部門は独立していて、介入せずとも完全に機能すると前置きし、部門間のやり取りでは問題が生じ、そこで理事会を取り仕切り、方針を決めたり、争いを解決したりするらしい。
理事会の一部やインスティチュート全体が僕の任命に関して再確認を求めるのは疑問の余地が無いとし、この先は僕やインスティチュート全体にとって難しい決断が訪れると言われた。そのための正しい行動が出来るかは分からないが、最善を尽くすつもりだ。
そのための最新の作戦はアリーさんが担当しているようなので準備が出来たら話を聞くとしよう。
スカベンジャー部隊の救助
僕はSRBでストラジデー・スーツの改良を依頼した。イダテン・システムが発動しないようにしてもらう事と色を変更してもらうためだ。他のコーサーと別々にしないとね。
ジャスティンさんは「あのシステムを起動されて生き延びられるなんて...」と聞こえないように呟いていたが、僕はばっちり聞いていた。やっぱり謀殺しようとしていたわけか!まぁ、理事会での反応は至極まともなので僕は怒らなかった。インスティチュートを守りたかっただけだろうと考えたからだ。ならばその信用を得るために頑張るのみだ。
話題を変えるために、ジャスティンさんはX6-88がリベルタリアでの仕事ぶりに非常に感銘を受けていたと言っていた。軽々しく誉め言葉を口にしないようなので、高評価らしい。ジャスティンさんも良くやったと言ってくれた。う~ん、こう言われると怒るに怒れない、しょうがないなぁ。
その話し合いが終わった頃に、ストラジデー・スーツの改良が終了した。
スキンは「愛国者」と呼ばれるブルーとグレーを基調とした色合いのスーツに仕上がり、バイザーは「四肢ターゲッティング」と呼ばれるシステムを内蔵しており、敵の四肢を破壊するための演算処理を行ってくれるとのこと。味方が少ない以上はこれを頼りに行動すべきだ。
その他には「変声器モジュール」をバイザーに仕込まれており、周波数をいじると自身の声を変えることが出来るらしい。人造人間製作においてすり替え技術の応用とのこと。正体がバレないように活用すべきだろう。
スーツの確認が終わると、アラーナさんが僕に仕事を頼みたいと言ってきた。レイダーにより地上に派遣した人造人間のスカベンジャー部隊部隊が襲われたらしい。第1世代の人造人間を拉致したが、トラッキング機能は働いているけど、それに割く人員がいないようだった。
僕が現地に向かい、レイダーを全滅させたら送信装置をその人造人間に手渡せば、コーサーが迎えに来て無事に回収出来るようだ。早速行きますかね!
拉致された人造人間のいる場所は以前行ったプレップスクールだった。そこにいたレイダー軍団は壊滅したのでいなかったが、代わりに別のレイダーが占拠していたのだ。考える事は皆同じらしい。
感傷に浸る間もなく撃ってきたきたので応戦する事にした。僕はプラズマソードを初めて起動した。映画通りならば一振りで敵を殺すような恐ろしい威力だったはずだ。それは現実にも適応されており、一振りで死ぬレイダーもいれば、屈強にも関わらず簡単に四肢が吹き飛ぶレイダーもいた。これは中々素晴らしい武器だ。
X6-88はこの前使った魔法の如く無限に発射される生物兵器の弾丸が搭載されたインスティチュートピストルを使用してレイダーを殺していった。
全滅させた後で、牢屋に繋がれているインペリアル・トルーパー装備の人造人間を救出した。何だかシュールな光景だ。僕は送信装置を渡し、コーサーに迎えに来させるように段取りしてプレップスクールを後にした。
この後、僕達はSRBに戻ってアラーナさんに任務成功の報告をした。
アラーナさんはレイダーは手強かったかと聞いてきたので、それほどでもなかったと僕は答えた。装備や武器のおかげもあるけど、それなりに戦い慣れた事が幸いしたと思う。彼女は「味方でいてくれて良かった」と言ってくれた。こちらとしても嬉しい限りだ。
レイダーの存在、スカベンジャー部隊にとって脅威であることは間違いなく、今後も同じ事態は想定されるとアラーナさんは言った。まぁ、レイダーがいる以上は無くならない問題だろうね。
また助けてもらえるならまた様子を見に来てほしいとアラーナさんは言った。スカベンジングは資源の再利用として有効なので、手を貸せるときはしっかり貸すようにしようと思う。
立て籠もり作戦を中止させよ!
SRBを出ると、インスティチュートの科学者達が口々に「ヒッグスとローケンがバイオサイエンス部で立て籠もりをしている」と僕に話してきた。只事ではないので急いで向かうと、ニュートンさんがバイオサイエンス部を解放するように抗議していた。
僕達に気付くと、ローレンスさんとマックスさんが僕を後継者に指名されたことに反発し、バイオサイエンスのセキュリティーシステムのコントロール権を奪って、食糧供給を遮断したらしい。
地下世界ではそれは死を意味する。それを聞いたX6-88は「そのような不服従は容認されません」と抗議した。
僕は要求はあったかどうか聞くと、まだないがインスティチュートと絶縁するように迫ってくるはずだと言われた。
ニュートンさんはメンテナンストンネルを開き、そこからならバイオサイエンス観察室に行けると提案された。説得が無理だった時のためにホロスコープを借りた。これで観察室の指揮機能にアクセス出来るようだ。
だが、暴力は最後の手段にしてほしいと懇願された。立て籠もりをしても大事な仲間である事に違いはないようだ。その意見を汲んで僕は行動しようと思う。
ニュートンさんにメンテナンストンネルを開けてもらい侵入すると、インペリアル・トルーパー装備の第1世代の人造人間が攻撃したり、セキュリティータレットによる攻撃も受けた。返り討ちにして進むとローレンスさんとマックスさんと対面した。
最初にローレンスさんは翻意を促すのは無駄であると言い、話し合いを拒否していた。これはショーン君が理事会に何の断わりも無く、僕が後継者へと指名されたので自分もそのやり方を見倣っていけないのかと皮肉を言った。
赤の他人の僕がなるのはそれは許せないよね。ネイトさんやノーラさんなら違ったかもしれない。もしくは今と同じ状況になっていたのかも?
僕はチャンスがもらえないかと交渉してみる事にしたが、ローレンスさんは「私達の仕事をろくに知りもしないのに、どうやって私達を導くというんだ!?熱意はあるようだが、無理だという事を思い知れ!」と非難した。確かに、僕は科学の知識や技術に乏しいし、インスティチュートの事なんてまるで分らない。
それでも僕は説得を続けた。後継者の地位を巡って争うのが良いのかと。インスティチュートにとってそれしか道は無いのかと説得した。ローレンスさんは変革が混乱を引き起こす事には同意するが、いずれ混乱の中から指導者が生まれ、全てが元通りになり研究が再開されると語った。
だがそれでも、僕は粘り強く交渉する事にした。
粘り強く交渉する姿を見たローレンスさんはマックスさんに相談した。如何に几帳面な研究者でも、時には賭けに出なければいけない時もあるとマックスさんは言い、信じてみようじゃないかと言ってくれた。
そして、ローレンスさんは立て籠もりを止める決心し、て、ドアを開けるようにと言った。マックスさんはそれを聞いてドアの封鎖を解除し、人造人間のコマンドオーバーライドを解除して、通常作業に戻るように命令した。これで万事解決だろうか?
穏便に解決できた僕にニュートンさんは賛辞の言葉を贈ってくれた。僕の事を見くびっていたが考えを改めたようだ。僕はそれは気にしなかった。どこまで行っても僕は部外者だからだ。それでも関わろうと決めた。だから、全力を尽くすのだ。
そして、当然ながら処罰をどうするかの話に入った。どんな選択でも受け入れるとニュートンさんは言った。僕としては追放や処刑はしたくなかったので、処罰しないことを決めた。その事で後に尾を引かせる事も無いと思ったからだ。彼等も分かってくれたと思うからだ。
ニュートンさんは「その温情と理解が貴方の人間性を物語っている」と言って安心したようだ。
しかし、X6-88は賛成するが監視は厳重にするようにと進言した。また同じ事をするかもしれないからと言ってきた。確かにそれは言えるけど、ここで信頼を築くためにも厳しすぎるのも反発されるだけなので、監視はそこそこにするようにお願いした。
最後にニュートンさんは報酬として、RADアウェイや各種薬品を僕にくれた。過酷な地上任務の事を考慮してだった。僕はありがたくそれを受け取ってこの立て籠り事件は終了した。
この事件が無事に解決した後に、スタッフや科学者達から熱烈な賛辞の言葉を賜った。多大な温情を示したり、その事件を見事にさばくのは誰にも出来る事ではないと言ってくれたのだ。僕としては最善を尽くしただけなのだ。それで誰も血が流れずに済んだのはとても良かったと思う。
最後にローレンスさんは「男らしく負けを認めたんだ」と言い、自身の過ちを受け入れた。マックスさんは僕の事を誤解していたが、いずれ「偉大な指導者になる」と言ってくれた。2人とも何とか殺さずに済んで良かったと思う。
後継者に本当になるのかは置いておき、僕はここで最善を尽くして信用を得るように頑張ろうと心に誓った。