どうすべきだろうか、自分にはさっぱり分からない。
闇の一党自体が極悪人の集まりで暗殺と言う後ろ暗い仕事で成り立っているのはこれまでの任務の経験で分かっている。ろくでなし、クズ、社会のゴミ、死んでも誰も悲しまない、異常者集団、殺人鬼と言われても仕方のないことばかりしてきたギルドだというのはモロウウィンドやシロディールの人々の見解を聞いて見て知っている。それが間違いだとは思わない。
しかし、僕はこの聖堂で「家族」を見出した。ここにいる実感と充足感がそれを証明した。ここの皆が好きだ、大好きなんだと気付いた。だから殺したくはない。
人殺しだと罵る連中がいるがそれじゃ、戦士ギルドの任務で悪党を殺すことは?魔術師ギルドが死霊術師を見つけ次第殺すのは?アリーナの決闘で死人が出るのはいいのか?
正面から殺しに来る山賊や海賊が好感を持てるという意見もあるが殺しは殺じゃないか。闇の一党の人殺しが邪悪だというならこの世界全ての戦いを背負う者達にその業の深さがついて回るんじゃないのか?
勧善懲悪はムンダス(この世)に於いて定義しづらいものだと僕は思う。
運命を乗り越えろ!
最後にオチーヴァさんに確認を取ることにしたが、彼女も違った。全力で任務を遂行するために力を注ぐように激励された。ならば方法は一つ。全てを打ち明けて解決策を練ろう。シャドウスケイルの背教者の時のように騙すのは無しでだ。
オチーヴァ「どうしたの?そんなに難しい任務なのかしら。それでも達成しなければならないわ。」
ドロフォノス「...浄化の儀式で聖堂の皆を皆殺しにしても、ですか?」
彼女は絶句してしまった。任務とはいえ殺されろとは納得がいかないだろう。それがシシスのためであろうとも。しかし、これが本当にシシスのご意思か定かではない。調べるために時間を稼がねばならない。
オチーヴァ「闇の一党を守るためには仕方がないことなのかしら。シシスのご意思ならば...。」
ドロフォノス「待ってください!それを確かめるために時間を稼がなければ。」
オチーヴァ「でもどこに隠れるというの?」
ドロフォノス「僕だけが知っている秘密の拠点があります。名前はディープスコーン空洞。レーヤウィンから南東に行った先にあります。そこは闇の一党の分派の生き残りが拠点にしていたもので今は闇のしもべなる僕の部下が一人で管理しています。彼は忠実なので匿うようにこちらが伝えればしばらくは隠れられます。」
オチーヴァ「分かったわ。皆に伝えて作戦を練るから少し時間を頂戴。」
そしてオチーヴァさんは皆に浄化の儀式が迫っていることを話す段取りをした。その中でメモをこっそりと渡された。内容は脱出するために2日ほど聖堂に戻らないようにと書かれていた。うまくいくために聖堂を離れて付近を警戒するようにして2日待った。
戻ってみると死体が5人分転がっていた。これはルシエンさん達ブラック・ハンドの目を欺くためだろう。これで騙せるといいけど。そう思いつつファラガット砦に帰還した。
報酬 シャドウメア!
砦に帰還すると聖堂が浄化されたことをルシエンさんは喜んだ。良かった、うまく騙せたようだ。このまま気付かれないように虚無に全てを捧げるように演技をして不審がられないようにしなければ。
そしてルシエンさんの愛馬であるシャドウメアを授かった。こんな時だがカッコイイ馬だと思った。大切にしなければ。
ルシエン「ククク、正にその通りだ!これからはブラック・ハンドのために尽くし闇の一党に貢献するのだ。」
ドロフォノス「分かりました。(誰が裏切っているのか知るためにもうまくごまかさねば)」
以前聞いたようにブラック・ハンドは闇の一党の上部組織だ。聞こえし者を筆頭に4人の伝えし者から構成されている。4本指と親指のようなものだという。その爪にあたるものが奪いし者だという。ルシエンさんの奪いし者はもう殺されていないので僕が後釜に据えられたようだ。
聖堂の皆の死を偽装できたのは良かったが裏切り者は依然としてなぞのまま。これからはルシエンさんの指示の下で働きつつ探るべきだろう。