ヒーローに昇格してチャンピオンのクラスを手に入れるために僕は矢継ぎ早に決闘を行った。そして元ブレイズのヒーローと戦って倒したときに何者かの監視を受けていることに気づいた。
これは誰からだろうか?イエローチームからの憎しみの眼差しか?それとも深淵の暁の残党に見られているのか?しかし何となく覚えのある感覚だった...。
その後、チャンピオンの座をかけたヒーロークラスの最終戦でイエローチームの3人と決闘を行った。バランスの取れた相手で苦戦したが何とか勝てたことでチャンピオンのクラスを手に入れた。最後はグランドチャンピオンのクラスだけになった。気を引き締めなければ。オーウェンも最初に会った時よりも心を開いてくれてうれしくなった。彼に失望させない戦いにしよう。
最終戦!新たなグランドチャンピオン誕生!
最後の戦いとなるので決闘の許可をグレイ・プリンスに取りに行ったが彼は意気消沈していた。もしくは自暴自棄になっているのかもしれない。やはりあの日記のせいだろうか。戦いの最中に持ち直してくれればいいけども...
最後にイザベルからグランドチャンピオン戦についての説明と新たなリングネームを決めるように言われた。沢山あってどれにしようか迷ったが「メッセンジャー・オブ・デス」に決めた。なぜそれを決めたのかは自分でも分からない。どこか惹かれるものがあったとしか言えないものだったのだ。
会場にてゴングが鳴るのを待つ。いよいよ最終戦だ。新たなリングネームを司会が名乗り終わるのを待ってからゲートが開いた。グレイ・プリンスが駆けだしてきた。
良かった!持ち直したとその時は思った...。
しかし、彼は持ち直してはいなかった。この決闘で敢えて死ぬために決闘を受け入れたことを明かした。
...やはり彼は絶望していたのだ。高貴な貴族の生まれだと信じていたのに吸血鬼の血が混じっていることに耐えられなくなってしまったんだ。こうなってしまっては降参するのも彼の名誉と矜持を傷つけることになるだろう。せめて、吸血鬼の血を引く者ではなくグランドチャンピオンをして幕を引かせようと僕は思った。
そして、刃を振り下ろして彼の苦悩と命を絶ち切ったのだった。
済まない、グランドチャンピオン...。貴方の出生の秘密を調べる仕事を受けなければ貴方はこれからもグランドチャンピオンであり続けられたのに...。そうしたらこんな形で決闘せずに歴史に残るような戦いが出来たのではないかと悔やむばかりだ。
その高潔な精神は紛れもなく貴族の物だったのだ。せめて来世に幸ありますように...
そして僕は、鎧を剥ぎ取りイザベルに渡すのだった。そしてその鎧を好みに応じて改造するとのことだったので軽装タイプにした。手数で攻めて価値を取ろうと思ったためだ。
次に新しいルールを定めた。グランドチャンピオンの戦いはこれからは人間ではなく獰猛なモンスターが相手になると言うことだ。新しいショーで観客を飽きさせないようにするらしい。まぁショーで人間が死ぬよりかはかなり良くなるから気は楽でいいかな。
対するグラディエーターは悲しみに打ちひしがれていた。彼はグレイ・プリンスの友人だったので自分を押し殺して労ってくれたのだ。彼には悪いことをした。こんな形で勝ってしまったのはとても言えることではなかった。
アリーナを後にするとあるウッドエルフが訪れた。彼は僕の決闘を見てファンになったらしい。かなり捲し立てるようにしゃべるので辟易したがファンを無下にしたらグレイ・プリンスに申し訳が立たないので大事にしよう。
名前はなぜが明かしてくれなかった。しょうがないので容姿と言動で「熱狂的なファン」か「タマネギ君」と呼ぼう。
何にせよ色々堪える日だったので帰って寝よう。
しかし、この時の僕は気づかなかった。闇の信徒がひそかに監視して僕に接触を試みようとしていたことに...