あんなに太っていた母。

足に力が入らない分、手すりを伝ったり、階段のふちをにぎってみたり。

骨と皮だけのようになった半袖のTシャツから出る二の腕。

1人で起き上がれず、階段も座ってしか降りられない。

 

そんな母の背中を見て、

「あぁ、もう母は帰ってこられないかも」と思いました。

 

後日夫に話したら、この瞬間、夫も同じことを考えていたようです。

 

この朝の光景が、あれから半年以上経った今でも目に焼き付いています。

たぶん、一生忘れられないだろうな。

 

 

 

   

 

 

 

父が怒鳴り散らして豹変した翌日は、月曜日

母の黄疸が出た金曜日の夜から2日半が経過していた。

 

この日は午後に、入院せずに済む免疫の点滴(通院)の予約があった。

 

 

 

 

朝6:30過ぎ

 

お腹が空いて変な時間に起きた娘に授乳し、寝かしつけた私。

 

このときはまだ、

長い1日、そして長い長い1週間の始まりになるなんて想像もしていなかった。

 

 

昨晩の目に焼き付いていたのは、

怒り狂ったままリビングに居座った父と

痛いのかつらいのかさえ伝わらなくなっていた弱弱しく横たわる母。

 

とにかくまずは様子を見に行こう!としたら、玄関が開く音がした。

「お父さん起きるのずいぶん早いな」と思いながら、リビングに移動する。

 

 

アキ「お母さん…起きてる?」

 

キミエ「あ、アキ。おはよ←か細く弱弱しい声。

 

アキ「お父さん、朝まで本当にここにいたんだ」←掛け布団と、枕にしたと思われるクッションが置いてあった。

 

キミエ「うん。たぶん一睡もせずにいたみたい」

 

アキ「え、そうなんだ。夜中は話しかけられなかった?」

 

キミエ「大丈夫。なんか出てったよ。外掃き掃除かな?」

 

アキ「あ、そう(もうどうでもいい)。で、お母さんどう?午後の診察まで待てそう?」

 

キミエ「うーん…」

 

アキ「無理しないで。まだ朝だけど、救急に連絡してみない?朝イチ診てもらえるかもよ」

 

キミエ「うんわかった。そうする」

 

 

 

7:00過ぎ

 

 

母の同意を得たので、病院から言われている緊急連絡先に連絡した。

 

金曜日の夜に黄疸が出たこと。

起き上がることもままならず、午後の点滴も1人では耐えられそうにないこと。

土曜日の朝にそうめんを一口食べた後、何も栄養を摂取できていないこと。

などを伝えた気がする。

 

「予約時間を変更できるか確認して折り返します」と言われ、電話を切った。

 

 

電話を待っている間に「トイレに行きたい」と母に言われた。

手を貸してベッドから起こそうとしたが…母が「無理(力はいらない)」と。

どうやら体を起こす力さえも入らない様子だった。

 

慌てて夫を起こしに行き手伝ってもらって、よろよろする母を2人で支えながらトイレへ誘導。

 

 

 

7:50頃

 

 

「今から来れますか?」と病院から着信があった。

 

「え、今から?!」と内心思ったが、「はい行きます。30分以内に着けます」と即答し、すっぴんのままとりあえず着替えだけして出かける準備。

 

 

そこに父が(たぶん外の掃き掃除か散歩から)戻ってきた。

 

ゲン「おぉみんな揃ってるな。朝ごはんどうする?」←昨晩のことは忘れているのか?

 

アキ「今からお母さん病院に送っていくから。朝ごはんは帰って来てからにして」

 

ゲン「おぉ病院だったな。そうかそうか。予約何時だっけ?」←何も知らないのに、覚えているフリ。

 

アキ「すぐ。準備できたら出るよ」

 

娘は連れていけないし、夫は在宅勤務の日だった。

必然的に父に送ってもらうことになってしまう。

 

 

キミエ「この服じゃ出られない。右の棚の1番上から黒に白の花柄のシャツ、持ってきて」

この状況でも身なりを気にする母。すごすぎる(苦笑)

 

 

父は「僕は(車から)降りないもんな?」と着替えをせずに歯磨きだけ済ませ、「先に車行ってるよ」と出て行った。

 

 

ベッドサイドに腰掛けながら着替えをした母。

「行ける。立たせて」と言われ、手をひっぱろうとしたが、また「無理。立てない」と。

 

「うそでしょ。足に力が入らないわけ?」と動揺したが、母にはそれが伝わらないように明るく「ユイチ呼んでくる。待ってて」と答えた。

 

 

 

そして、ユイチが両腕の下に手をくぐらせ、抱きかかえるようにして立たせた。

横に椅子を置いておき、ひとまず椅子に座らせる。

 

そこからもう1度立たせて、次の難関は階段だ。

 

歩くのもままならず、ふらっふらの母。

階段は狭いため両側から支えてあげられない。

 

「どうしよう、降りられない」と言った母にユイチが

「お義母さん、座ってください。1段1段、座りながら降りましょう」と言って、母の前に立った。

 

ユイチが母を下から見守って、

母は階段に腰かけながら、1段1段お尻をおろして降りていく。

私は数段上から母の背後を見守る。

 

1階のリビングでは、1人で放置された娘が「わぁわぁ」泣いている(今日の📷️は、そのときの娘の立ち位置。おかいつ釘付け)。

その声を聞いて母が「あぁ泣いてる~モモ、ごめんね~」と言った声が、今でも昨日のように思い出せる。

 

 

母は、1人では起き上がることも歩くこともできない。

父は、怒鳴り散らしても何ごともなかったかのように忘れてしまう。

娘は、朝から放置されて泣いている。

私と夫は、もう母は戻ってこられないかもと感じている。

 

 

もう、、、カオスだった!!!

 

 

 

 

 

 

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