前回のこちらの記事の続きです。
「船瀬俊介の『書かずに死ねるか!』」の本から引用させていただきながら書いています。
生存率=木の巣箱85%、金属41%、コンクリート7%
では、なぜ木造住宅とコンクリート住宅で、寿命、ガン死、出生率に大差が出たのか、その謎を解く実験が存在するそうです。
静岡大学農学部が行ったもので、
A:木製巣箱
B:金属巣箱
C:コンクリート巣箱
の3つの素材で、マウスを育てて、その生存率を比較した実験です。
巣箱は各10個、合計30個を同じ屋内に設置し、平均気温は25℃前後。
各々の巣箱にマウスのつがいを入れ、子どもを産ませて、子どもマウスがどのように成長するかを観察しました。
その結果は…
生後20日で、生存率は
A:85%
B:41%
C:7%
と、衝撃的な大差がついたそうです。
木造巣箱での子マウスの生存率は、コンクリート巣箱の12倍強、逆に言えば、コンクリート巣箱の生存率は、木製の12分の1以下という惨状…(>_<)
同じことが、コンクリート住宅の住民にも起こっている…。
だから、木造住宅に比べて9年も早死にしていたのだ。
体熱を奪う”冷ストレス”がマウスを殺した
なぜ、巣箱の建材一つで、これほどまでに死亡率に大差がついたのかというと、直接、体から熱が奪われるためとのこと。
「生活環境には、ある温度が極めて重要です。体熱を奪われる。それが(巣箱の)材質と結び付いています」と有馬孝禮(ありま たかのり)教授(東大大学院・農学生命科学研究科。当時)は語っています。
同教授によると、この実験で子どもマウスを指でつかまえると、コンクリート、金属巣箱のネズミは「明らかに冷たく、ベトッとしている」のだそうです。
そして、B:金属巣箱の鉄板は0,4ミリ、C:コンクリート巣箱の厚さは3センチ。
そのため、コンクリートの方が多くマウスの体熱を奪ったのだ。
こうして、冷たいコンクリートによる”冷ストレス”で、9割以上の子マウスたちは、わずか20日余りでバタバタと死んでいった。
ここでコンクリート建材の致命的欠陥が、明らかとなった。
それは体熱を奪う”冷ストレス”だ。
コンクリートの熱伝導率が木材より、はるかに高いために起こる現象だ。
これが、コンクリート・ストレスの正体だった。
それは、母親マウスの授乳にも影響しているそうです。
ふつう、母親マウスは、子どもに乳をやるときは、ゆったり腹ばいになって飲ませるのですが、コンクリートの床は、いくら木屑を敷いているとはいえ、冷たいため、そこに腹ばいになれば、母マウスも腹から体熱を奪われてしまいます。
そのため授乳時間は短くなり、子どもマウスは栄養失調に陥るとのこと。
それを証明するのが、生き残ったマウスの体重変化の比較で、コンクリート巣箱のマウス体重は、木の巣箱の3分の2しかなく、明らかに成長不良だったそうです。
また、各臓器の発達も、コンクリート巣箱の子マウスは、木製巣箱にくらべて、精巣4分の3、卵巣5分の3、子宮は2分の1と未熟だったそうです。
母マウスは子を食い殺し,父マウスは牙をむき攻撃的に
この”冷ストレス”の差は、マウスの行動にも影響しているそうです。
体温測定のためつまんでも、木製巣箱のマウスは「おとなしい」。
金属、コンクリートでは「暴れる」。
「体熱が奪われる」というストレス下で、マウスはパニックを起こしたのだ。
さらに、コンクリート巣箱のマウスの腎臓に、ガンの一種、「水腫(すいしゅ)」が見られた。
「これも、冷えるストレスが原因でしょう」(有馬教授)
冷ストレスは免疫機能を弱らせ、ガンなどを発症させるとのこと。
これが、コンクリート住宅で、早死にするメカニズムなのだそうです。
さらに、コンクリート巣箱の実験で、研究者たちを驚愕させたショッキングな現象がある。
それは、名古屋大学が行った追試で観察された。
母親ネズミが子どもに哺乳しない。
それどころか、子どもを嚙み殺して、食べたのだ…。
これは、母性本能がコンクリート・ストレスで破壊されたために起こった惨劇だ。
怖すぎます…(>_<)
狂ったのは母マウスだけでなく、父マウスも狂気に走ったそうです。
静岡大、名古屋大いずれの実験でも、父親の役割は母親に妊娠させて終わる。
そこで父マウスを集めて、同じ種類の木製、金属、コンクリートの巣箱で共同生活させた。
すると、金属・コンクリート巣箱で異変が起こった。
父マウスたちは、他の雄マウスに牙をむいて、襲いかかったのだ。
こうして、激しいケンカ、乱闘をくり返した。
しかし、木製巣箱だけは例外だった。
「父マウスたちは、おっとりと過ごしていた」
ここに体熱を奪うコンクリート・ストレスの底知れぬ恐ろしさがある、と書かれていました。
すぐに連想するのは、全国で多発する原因不明の家庭内暴力だ。
そして、親殺し、子殺しの惨劇…。
それも、住民の体熱を奪うコンクリート・ストレスが大きな引き金であることなど、だれ一人、想像すらできないはずだ。
しかし、心の凍る悲劇はあいついでいる。
その一例が、大阪で発生した親殺し事件だろう。
家族が住んでいたのは、奇しくも安藤忠雄氏設計のコンクリート打ちっ放し住宅。
息子は大阪大に入学した学生だったが、大学には行かず怠惰な日々を送っていた。
たまりかねた母親が食堂で愚痴をこぼし、なじった。
すると、息子は激昂(げきこう)し、その場で母親を殴り殺した…。
安藤氏は、彼が設計するコンクリート住宅への不評に対して「住むことは格闘や!」と、平然とつっぱねていた。
しかし、ついにコンクリート・ストレスで、家庭内の”格闘”の惨劇が起こってしまったのだ…。
うーん…、これほどまでに、建材の違いによって、心身に与える影響が違うのですね。
住むのに”格闘”しなければいけないような、コンクリート打ちっ放し住宅には、私は住みたいとは思わないです…(>_<)
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