あるコンビニが、

 

「大盛りごはん3種のカツ弁当」という

弁当を販売していることを知った。

 

やるなぁー。

その秀逸なネーミングに、

 

「この弁当は凄い!」と

思わず唸ってしまったのだ。

 

その凄さを分かりやすく説明すると、

おそらく、こちらの弁当は開発の経緯は、

 

“商品力発想” というよりも、

“利用動機発想” ということになる。

 

つまり、この場合、

“商品力発想” の弁当なら、

 

実際の商品名をベースに

名前をつけてみると、

 

「3種のカツ弁当 (大盛り)

というのが妥当である。

 

それに対して、

こちらの弁当は、

 

「大盛りごはん3種のカツ弁当」と

大盛りごはんを主役にしている。

 

見たところ、

カツもけっこうなボリュームなのだが、

 

それでもあえてごはんの方を

前面に押し出しているのがポイント。

 

例えるなら、

 

もちろん、おかずも十分に魅力的なのだが、

それよりもまず、

 

ごはんがおかわり自由だから、

あの店に行く。

 

そんなランチの店選びの基準と

まったく同じなのである。

 

「3種のカツ」という、

 

おかずのごちそう感を前面に押し出した

 “商品力の方ではなく、

 

「大盛りごはん」という

お腹がいっぱいになる利用動機の方を

 

商品の切り口に採用し、

お客さんにアピールする。

 

しかも、商品名の横には

赤地に白文字で、

 

「ごはん約300g」と書いて

ドーンと目立たせている。

 

このように、

お腹いっぱいになることが

 

一番の売り物である、

この弁当。

 

購買客層には、

“商品力” と “利用動機” の

 

いったいどちらをアピールした方が

グサッと刺さるのか?

 

そこを見事なまでに、

的確に押さえているのである。

 

やるなぁー。

 

「3種のカツ」と

「大盛りごはん」の、

 

どっちを前に持ってきて

ネーミングするか?

 

たったそれだけの違いで、

お客さんに与える印象は、

 

全然、違ったものになる。

 

いやはや何とも、

これは実に興味深い。

 

また、

面白いことに、

 

同じボリューム感をアピールするにしても、

3種のカツのボリューム感を謳うより、

 

大盛りごはんの方を

強くアピールした方が、

 

もうこれでもかとストレートに

満腹感が伝わってくる。

 

そう。

 

たかがネーミング。

されどネーミング。

 

なのである。

 

これにはもう、

何度も唸らされてしまった。

 

やっぱり、

こう思わずにはいられない。

 

「この弁当は凄い!」

と。

 

その鋭利な着眼点には、

本当に脱帽だ。