被告人が、元交際相手が撮影された私事性的画像記録をオンライン・ストレージサービスにアップロードし | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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被告人が、元交際相手が撮影された私事性的画像記録をオンライン・ストレージサービスにアップロードし、ストレージサービスが提供する機能を用いて、同画像記録を「公開設定」したが、これにアクセスするために必要な公開URLを被害者以外の第三者に明らかにしなかったという事案について、わいせつ電磁的記録記録物公然陳列罪(刑法175条1項)および私事性的画像記録の提供等による被害防止に関する法律3条2項後段の「公然と陳列した」に当たらないとして、これらの罪の成立を認めた原判決には、法令適用を誤った違法があるとした事例

 

大阪高等裁判所判決/平成29年(う)第136号

平成29年6月30日

強要未遂,私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律違反,わいせつ電磁的記録記録媒体陳列被告事件

【判示事項】 被告人が、元交際相手が撮影された私事性的画像記録をオンライン・ストレージサービスにアップロードし、ストレージサービスが提供する機能を用いて、同画像記録を「公開設定」したが、これにアクセスするために必要な公開URLを被害者以外の第三者に明らかにしなかったという事案について、わいせつ電磁的記録記録物公然陳列罪(刑法175条1項)および私事性的画像記録の提供等による被害防止に関する法律3条2項後段の「公然と陳列した」に当たらないとして、これらの罪の成立を認めた原判決には、法令適用を誤った違法があるとした事例

【参照条文】 刑事訴訟法397-1

       刑事訴訟法380

       私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律

       私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律3

       刑法175-1

【掲載誌】  判例タイムズ1447号114頁

 

刑事訴訟法

第三百八十条 法令の適用に誤があつてその誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、その誤及びその誤が明らかに判決に影響を及ぼすべきことを示さなければならない。

 

第三百九十七条 第三百七十七条乃至第三百八十二条及び第三百八十三条に規定する事由があるときは、判決で原判決を破棄しなければならない。

② 第三百九十三条第二項の規定による取調の結果、原判決を破棄しなければ明らかに正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。

 

私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律

(定義)

第二条 この法律において「私事性的画像記録」とは、次の各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像(撮影の対象とされた者(以下「撮影対象者」という。)において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(次条第一項において「第三者」という。)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く。次項において同じ。)に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。同項において同じ。)その他の記録をいう。

一 性交又は性交類似行為に係る人の姿態

二 他人が人の性器等(性器、肛こう門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

三 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

2 この法律において「私事性的画像記録物」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、前項各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像を記録したものをいう。

(私事性的画像記録提供等)

第三条 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

2 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。

3 前二項の行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

4 前三項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

5 第一項から第三項までの罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。

 

刑法

(わいせつ物頒布等)

第百七十五条 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。