刑法197条1項の罪と公職選挙法222条2項、249条の罪とが一所為数法の関係にあるとされた事例 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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刑法197条1項の罪と公職選挙法222条2項、249条の罪とが一所為数法の関係にあるとされた事例

 

最高裁判所第1小法廷決定昭和46年12月2日

収賄、公職選挙法違反、贈賄、宅地建物取引業法違反被告事件

【判示事項】 刑法197条1項の罪(収賄罪)と公職選挙法222条2項、249条の罪とが一所為数法の関係にあるとされた事例

【判決要旨】 地方公共団体の議会の議員が、公職選挙法199条3項に規定する会社から、その職務に関し賄賂を収受する趣旨および同議会議員の選挙に関し寄附を受ける趣旨で、現金の供与を受けた場合には、刑法197条1項の罪および公職選挙法222条2項、249条の罪が成立し、両者は一所為数法の関係にある。

【参照条文】 刑法197-1

       公職選挙法199-3

       公職選挙法200-2

       公職選挙法249

       刑法54-1

【掲載誌】  最高裁判所刑事判例集25巻9号1041頁

 

刑法

(一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合等の処理)

第五十四条 一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

2 第四十九条第二項の規定は、前項の場合にも、適用する。

 

(収賄、受託収賄及び事前収賄)

第百九十七条 公務員が、その職務に関し、賄賂ろを収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。

2 公務員になろうとする者が、その担当すべき職務に関し、請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、公務員となった場合において、五年以下の懲役に処する。

 

公職選挙法

(特定の寄附の禁止)

第百九十九条 衆議院議員及び参議院議員の選挙に関しては国と、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に関しては当該地方公共団体と、請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該選挙に関し、寄附をしてはならない。

2 会社その他の法人が融資(試験研究、調査及び災害復旧に係るものを除く。)を受けている場合において、当該融資を行なつている者が、当該融資につき、衆議院議員及び参議院議員の選挙に関しては国から、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に関しては当該地方公共団体から、利子補給金の交付の決定(利子補給金に係る契約の承諾の決定を含む。以下この条において同じ。)を受けたときは、当該利子補給金の交付の決定の通知を受けた日から当該利子補給金の交付の日から起算して一年を経過した日(当該利子補給金の交付の決定の全部の取消しがあつたときは、当該取消しの通知を受けた日)までの間、当該会社その他の法人は、当該選挙に関し、寄附をしてはならない。

 

(特定人に対する寄附の勧誘、要求等の禁止)

第二百条 何人も、選挙に関し、第百九十九条に規定する者に対して寄附を勧誘し又は要求してはならない。

2 何人も、選挙に関し、第百九十九条に規定する者から寄附を受けてはならない。

 

第十六章 罰則
(買収及び利害誘導罪)
第二百二十一条 次の各号に掲げる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは禁錮こ又は五十万円以下の罰金に処する。
一 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき。
二 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対しその者又はその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して誘導をしたとき。
三 投票をし若しくはしないこと、選挙運動をし若しくはやめたこと又はその周旋勧誘をしたことの報酬とする目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し第一号に掲げる行為をしたとき。
四 第一号若しくは前号の供与、供応接待を受け若しくは要求し、第一号若しくは前号の申込みを承諾し又は第二号の誘導に応じ若しくはこれを促したとき。
五 第一号から第三号までに掲げる行為をさせる目的をもつて選挙運動者に対し金銭若しくは物品の交付、交付の申込み若しくは約束をし又は選挙運動者がその交付を受け、その交付を要求し若しくはその申込みを承諾したとき。
六 前各号に掲げる行為に関し周旋又は勧誘をしたとき。
2 中央選挙管理会の委員若しくは中央選挙管理会の庶務に従事する総務省の職員、参議院合同選挙区選挙管理委員会の委員若しくは職員、選挙管理委員会の委員若しくは職員、投票管理者、開票管理者、選挙長若しくは選挙分会長又は選挙事務に関係のある国若しくは地方公共団体の公務員が当該選挙に関し前項の罪を犯したときは、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。公安委員会の委員又は警察官がその関係区域内の選挙に関し同項の罪を犯したときも、また同様とする。
3 次の各号に掲げる者が第一項の罪を犯したときは、四年以下の懲役若しくは禁錮こ又は百万円以下の罰金に処する。
一 公職の候補者
二 選挙運動を総括主宰した者
三 出納責任者(公職の候補者又は出納責任者と意思を通じて当該公職の候補者のための選挙運動に関する支出の金額のうち第百九十六条の規定により告示された額の二分の一以上に相当する額を支出した者を含む。)
四 三以内に分けられた選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)の地域のうち一又は二の地域における選挙運動を主宰すべき者として第一号又は第二号に掲げる者から定められ、当該地域における選挙運動を主宰した者

 

(寄附の勧誘、要求等の制限違反)

第二百四十九条 第二百条第一項の規定に違反して寄附を勧誘し若しくは要求し又は同条第二項の規定に違反して寄附を受けた者(会社その他の法人又は団体にあつては、その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)は、三年以下の禁()又は五十万円以下の罰金に処する。