預金保険法74条1項に基づく金融整理管財人による業務および財産の管理を命ずる処分を受けた金融機関 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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預金保険法74条1項に基づく金融整理管財人による業務および財産の管理を命ずる処分を受けた金融機関が、その賃借している期間の定めのある建物賃貸借契約を解約することができるか(消極)

 

大阪地方裁判所判決/平成14年(ワ)第11986号

平成15年5月30日

貸金請求事件

【判示事項】    預金保険法74条1項に基づく金融整理管財人による業務および財産の管理を命ずる処分を受けた金融機関が、その賃借している期間の定めのある建物賃貸借契約を解約することができるか(消極)

【判決要旨】    預金保険法74条1項に基づく金融整理管財人による業務および財産の管理を命ずる処分を受けた金融機関は、その賃借している期間の定めのある建物賃貸借契約を破産法59条1項ないし民法621条の類推適用によっては解約することができない。

【参照条文】    預金保険法74-1

          破産法59-1

          民法621

【掲載誌】     金融法務事情1694号60頁

 

預金保険法

(業務及び財産の管理を命ずる処分)

第七十四条 内閣総理大臣(この項に規定する処分に係る金融機関が労働金庫又は労働金庫連合会である場合にあつては内閣総理大臣及び厚生労働大臣とし、株式会社商工組合中央金庫である場合にあつては内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣とする。次項、第四項(次条第二項において準用する場合を含む。)及び第五項、同条第一項、第七十七条第二項から第四項まで、第七十九条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)、第八十条、第八十四条第一項並びに第九十条において同じ。)は、金融機関がその財産をもつて債務を完済することができないと認める場合又は金融機関がその業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれがあると認める場合若しくは金融機関が預金等の払戻しを停止した場合であつて、次に掲げる要件のいずれかに該当すると認めるときは、当該金融機関に対し、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分(以下「管理を命ずる処分」という。)をすることができる。

一 当該金融機関の業務の運営が著しく不適切であること。

二 当該金融機関について、合併等が行われることなく、その業務の全部の廃止又は解散が行われる場合には、当該金融機関が業務を行つている地域又は分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあること。

2 内閣総理大臣は、金融機関からその財産をもつて債務を完済することができない事態が生ずるおそれがあると認める旨の申出があつた場合において、当該事態が生ずるおそれがあり、かつ、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当すると認めるときは、当該金融機関に対し、管理を命ずる処分をすることができる。

3 前二項の規定による管理を命ずる処分があつた場合におけるこの法律の適用については、当該処分を受けた金融機関(破綻金融機関を除く。)は、破綻金融機関とみなす。

4 内閣総理大臣は、管理を命ずる処分をしたときは、官報により、これを公告しなければならない。

5 金融機関は、その財産をもつて債務を完済することができないとき又はその業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれがあるときは、その旨及びその理由を、文書をもつて、内閣総理大臣に申し出なければならない。

 

破産法

(双務契約)

第五十三条 双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、破産管財人は、契約の解除をし、又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。

2 前項の場合には、相手方は、破産管財人に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか、又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において、破産管財人がその期間内に確答をしないときは、契約の解除をしたものとみなす。

3 前項の規定は、相手方又は破産管財人が民法第六百三十一条前段の規定により解約の申入れをすることができる場合又は同法第六百四十二条第一項前段の規定により契約の解除をすることができる場合について準用する。

 

(賃貸借契約等)

第五十六条 第五十三条第一項及び第二項の規定は、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を設定する契約について破産者の相手方が当該権利につき登記、登録その他の第三者に対抗することができる要件を備えている場合には、適用しない。

2 前項に規定する場合には、相手方の有する請求権は、財団債権とする。