旧会社の業務を引き継ぎ設立された新会社の挨拶状が商法28条の広告に当たらないとされた事例
貸金請求控訴事件
【事件番号】 東京高等裁判所判決/平成9年(ネ)第3665号
【判決日付】 平成10年11月26日
【判示事項】 旧会社の業務を引き継ぎ設立された新会社の挨拶状が商法28条の広告に当たらないとされた事例
【判決要旨】 旧会社の営業を引き継いだ新会社Yの「旧会社の設備配管部門を独立させて新会社を設立した。新会社の社屋・設備・スタッフは旧会社から引き継いで営業する」旨の挨拶状が商法28条の広告に当たるとしても、Yは倒産の危機に瀕した旧会社の救済方策として設立されたもので、旧会社の唯一の不動産である本社の土地建物や売掛金の譲渡を受けておらず、被控訴人XはY設立後もYと債務引受等を求めて交渉してきたことや右挨拶状がXの1営業担当者宛てになされたものにすぎないこと等からすると、右挨拶状は単なる挨拶状の域を越え、営業譲渡とともに債務引受を表示したものとまでは認められない。
【参照条文】 商法28
商法245
【掲載誌】 金融・商事判例1067号47頁
判例時報1671号144頁
金融法務事情1545号46頁
会社法
(譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任等)
第二十二条 事業を譲り受けた会社(以下この章において「譲受会社」という。)が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
2 前項の規定は、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社がその本店の所在地において譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社及び譲渡会社から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
3 譲受会社が第一項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、事業を譲渡した日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
4 第一項に規定する場合において、譲渡会社の事業によって生じた債権について、譲受会社にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。
(譲受会社による債務の引受け)
第二十三条 譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用しない場合においても、譲渡会社の事業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡会社の債権者は、その譲受会社に対して弁済の請求をすることができる。
2 譲受会社が前項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、同項の広告があった日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。