東宝・新東宝事件・潜在的競争関係の有無 審決取消請求事件 東京高等裁判所判決 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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東宝・新東宝事件・潜在的競争関係の有無

 

 

              審決取消請求事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/昭和26年(行ナ)第17号

【判決日付】      昭和28年12月9日

【判示事項】      1、潜在的競争関係の有無

             2、経済学上の子会社と競争関係

             3、一定の取引分野における競争の実質制限の意義

             4、全国商品量の3分の1の支配と競争の実質制限の成否

             5、改正独占禁止法附則第4項の対象

             6、不当な取引制限の意義

             7、違反行為の排除措置としての将来の行為の禁止

             8、拘束条件附取引に対する排除措置

             9、同上

             10、違反行為の排除措置として一定事項の報告を命ずることの当否

【判決要旨】      1、甲会社は映画の製作配給興行等の事業を営み、乙会社は映画の製作販売等の事業を営むものであつて、乙会社は自らは映画の配給業務を行わず、そのままの機構では映画の配給を行うことができないとしても配給業務に通暁した者を多少加えれば事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えないでも映画配給業務を行うことができる状態にある場合は、この甲会社と乙会社とは、映画配給の取引分野において潜在的競争関係にあるものと解すべきである。

             2、経済学上乙会社が甲会社の子会社というべきであるとしても、旧独占禁止法第10条第13条第14条の場合を除いては、それだけで両者の間に同法にいう競争関係がないとすることはできない。

             3、一定の取引分野における競争を実質的に制限するとは、競争自体が減少して特定の事業者又は事業者集団がその意思である程度自由に、価格、品質、数量その他各般の条件を左右することによつて市場を支配することができる状態をもたらすことをいい、かかる状態においては、これらの者に対する競争者はこれらの者の意思に拘りなく自らの自由な選択によつて価格、品質、数量等を決定して事業活動を行いこれによつて十分な利潤を収めその存在を維持するということはもはや望み得ないことになるのであり、いかなる状況にいたつてこのような市場支配が成立するとみるべきかは相対的な問題で一律には決し難く、その際の経済的諸条件と不可分であり、たんに市場におけるその者の供給(又は需要)の分量だけからは決し得ない。

             4、甲会社と乙会社の製作する映画が日本全国で製作される映画の総数の3分の1を占めるという事実だけでは、甲会社が乙会社の製作映画をすべて自ら配給することが、映画配給の取引分野における競争を実質的に制限するものとはいえない。

             5、昭和28年法律第259号私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律附則第4項は、公正取引委員会が右改正法施行後審決をするにあたつて法律を適用すべき場合について規定したものであり、右施行の際現に係属する審決不服の訴において裁判所が審決の適否を判断するにあたつて基準とすべき法律が新旧いずれであるかの問題まで立法によつて解決をはかつたものではない。

             6、独占禁止法上不当な取引制限とは、相互に競争関係にある独立の事業者が共同して相互に一定の制限を課し、その自由な事業活動を拘束するところに成立し、その各当事者に一定の事業活動の制限を共通に設定することを本質とするもので、当事者の一方だけにその制限を課するものは、その制限の相互性を欠くから、不当な取引制限とはならない。

             7、独占禁止法違反行為があるとき公正取引委員会が命ずるその違反行為を排除するために必要な措置とは、現在同法に違反してなされている行為の差止、違反行為からもたらされた結果の除去等、直ちに現在において違反行為がないと同一の状態を作り出すことのみに止まるものではなく、いつたん違反行為がなされた後なんらかの事情のため現在はこれが継続していないがいつまた復活するかわからないような場合には、現に排除の必要が解消したものとはいえず、将来にわたつて右の違反行為と同一の行為を禁止することは、違反行為の排除のために必要な措置というべきである。

             8、相手方とその顧客との取引を不当に拘束する条件をつけて相手方に資金を供給するという違反行為(不公正な競争方法)の排除措置として、相手方とその顧客との取引を不当に拘束すること自体を禁止するのは失当である。

             9、前項の違反行為がある場合、その排除措置として、相手方に合併を強要し又は相手方の映画の配給を妨害する等いかなる方法をもつてしても相手方の経営に干渉するような行為をしてはならないと命ずることは、違反行為と必然の関係がなく、その排除措置としては必要の度を超え独断に過ぎるものである。

             10、公正取引委員会が一定の独占禁止法違反行為の排除のため必要な措置として将来の行為の禁止すなわち不作為を命じた場合、この命令が忠実に守られているかどうかを看視する意味で当事者に一定事項の報告義務を課することは、右排除措置に附随する処置として許さるべきものである。

【参照条文】      私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和28年法律第259号により改正されたもの)2-4(昭和28年法律第259号による改正前の第2条第2項)

             私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和28年法律第259号による改正前のもの)10-2

             私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和28年法律第259号による改正前のもの)10-3

             私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和28年法律第259号による改正前のもの)13

             私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和28年法律第259号による改正前のもの)14-2

             私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和28年法律第259号による改正前のもの)14-3

             私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和28年法律第259号による改正前のもの)2-6(昭和28年法律第259号による改正後の第2条第7項第4号

             私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和28年法律第259号による改正前のもの)19

             私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2-6

             私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律7

             私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律20

             私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律附則(昭和28年法律第259号)3

             私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律附則(昭和28年法律第259号)4

【掲載誌】        高等裁判所民事判例集6巻13号868頁

             判例時報19号11頁

【評釈論文】      別冊ジュリスト81号18頁

             別冊ジュリスト53号26頁

             別冊ジュリスト26号30頁

             別冊ジュリスト110号22頁

 

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

第二条 この法律において「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいう。事業者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項又は第三章の規定の適用については、これを事業者とみなす。

② この法律において「事業者団体」とは、事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする二以上の事業者の結合体又はその連合体をいい、次に掲げる形態のものを含む。ただし、二以上の事業者の結合体又はその連合体であつて、資本又は構成事業者の出資を有し、営利を目的として商業、工業、金融業その他の事業を営むことを主たる目的とし、かつ、現にその事業を営んでいるものを含まないものとする。

一 二以上の事業者が社員(社員に準ずるものを含む。)である社団法人その他の社団

二 二以上の事業者が理事又は管理人の任免、業務の執行又はその存立を支配している財団法人その他の財団

三 二以上の事業者を組合員とする組合又は契約による二以上の事業者の結合体

③ この法律において「役員」とは、理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役若しくはこれらに準ずる者、支配人又は本店若しくは支店の事業の主任者をいう。

④ この法律において「競争」とは、二以上の事業者がその通常の事業活動の範囲内において、かつ、当該事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく次に掲げる行為をし、又はすることができる状態をいう。

一 同一の需要者に同種又は類似の商品又は役務を供給すること

二 同一の供給者から同種又は類似の商品又は役務の供給を受けること

⑤ この法律において「私的独占」とは、事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもつてするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。

⑥ この法律において「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。

⑦ この法律において「独占的状態」とは、同種の商品(当該同種の商品に係る通常の事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく供給することができる商品を含む。)(以下この項において「一定の商品」という。)並びにこれとその機能及び効用が著しく類似している他の商品で国内において供給されたもの(輸出されたものを除く。)の価額(当該商品に直接課される租税の額に相当する額を控除した額とする。)又は国内において供給された同種の役務の価額(当該役務の提供を受ける者に当該役務に関して課される租税の額に相当する額を控除した額とする。)の政令で定める最近の一年間における合計額が千億円を超える場合における当該一定の商品又は役務に係る一定の事業分野において、次に掲げる市場構造及び市場における弊害があることをいう。

一 当該一年間において、一の事業者の事業分野占拠率(当該一定の商品並びにこれとその機能及び効用が著しく類似している他の商品で国内において供給されたもの(輸出されたものを除く。)又は国内において供給された当該役務の数量(数量によることが適当でない場合にあつては、これらの価額とする。以下この号において同じ。)のうち当該事業者が供給した当該一定の商品並びにこれとその機能及び効用が著しく類似している他の商品又は役務の数量の占める割合をいう。以下この号において同じ。)が二分の一を超え、又は二の事業者のそれぞれの事業分野占拠率の合計が四分の三を超えていること。

二 他の事業者が当該事業分野に属する事業を新たに営むことを著しく困難にする事情があること。

三 当該事業者の供給する当該一定の商品又は役務につき、相当の期間、需給の変動及びその供給に要する費用の変動に照らして、価格の上昇が著しく、又はその低下がきん少であり、かつ、当該事業者がその期間次のいずれかに該当していること。

イ 当該事業者の属する政令で定める業種における標準的な政令で定める種類の利益率を著しく超える率の利益を得ていること。

ロ 当該事業者の属する事業分野における事業者の標準的な販売費及び一般管理費に比し著しく過大と認められる販売費及び一般管理費を支出していること。

⑧ 経済事情が変化して国内における生産業者の出荷の状況及び卸売物価に著しい変動が生じたときは、これらの事情を考慮して、前項の金額につき政令で別段の定めをするものとする。

⑨ この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。

一 正当な理由がないのに、競争者と共同して、次のいずれかに該当する行為をすること。

イ ある事業者に対し、供給を拒絶し、又は供給に係る商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限すること。

ロ 他の事業者に、ある事業者に対する供給を拒絶させ、又は供給に係る商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限させること。

二 不当に、地域又は相手方により差別的な対価をもつて、商品又は役務を継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの

三 正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの

四 自己の供給する商品を購入する相手方に、正当な理由がないのに、次のいずれかに掲げる拘束の条件を付けて、当該商品を供給すること。

イ 相手方に対しその販売する当該商品の販売価格を定めてこれを維持させることその他相手方の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束すること。

ロ 相手方の販売する当該商品を購入する事業者の当該商品の販売価格を定めて相手方をして当該事業者にこれを維持させることその他相手方をして当該事業者の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束させること。

五 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。

イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。

ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。

ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。

六 前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに該当する行為であつて、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するもの

イ 不当に他の事業者を差別的に取り扱うこと。

ロ 不当な対価をもつて取引すること。

ハ 不当に競争者の顧客を自己と取引するように誘引し、又は強制すること。

ニ 相手方の事業活動を不当に拘束する条件をもつて取引すること。

ホ 自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。

ヘ 自己又は自己が株主若しくは役員である会社と国内において競争関係にある他の事業者とその取引の相手方との取引を不当に妨害し、又は当該事業者が会社である場合において、その会社の株主若しくは役員をその会社の不利益となる行為をするように、不当に誘引し、唆し、若しくは強制すること。

 

第三条 事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。

 

第七条 第三条又は前条の規定に違反する行為があるときは、公正取引委員会は、第八章第二節に規定する手続に従い、事業者に対し、当該行為の差止め、事業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。

② 公正取引委員会は、第三条又は前条の規定に違反する行為が既になくなつている場合においても、特に必要があると認めるときは、第八章第二節に規定する手続に従い、次に掲げる者に対し、当該行為が既になくなつている旨の周知措置その他当該行為が排除されたことを確保するために必要な措置を命ずることができる。ただし、当該行為がなくなつた日から七年を経過したときは、この限りでない。

一 当該行為をした事業者

二 当該行為をした事業者が法人である場合において、当該法人が合併により消滅したときにおける合併後存続し、又は合併により設立された法人

三 当該行為をした事業者が法人である場合において、当該法人から分割により当該行為に係る事業の全部又は一部を承継した法人

四 当該行為をした事業者から当該行為に係る事業の全部又は一部を譲り受けた事業者

 

第十条 会社は、他の会社の株式を取得し、又は所有することにより、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には、当該株式を取得し、又は所有してはならず、及び不公正な取引方法により他の会社の株式を取得し、又は所有してはならない。

② 会社であつて、その国内売上高(国内において供給された商品及び役務の価額の最終事業年度における合計額として公正取引委員会規則で定めるものをいう。以下同じ。)と当該会社が属する企業結合集団(会社及び当該会社の子会社並びに当該会社の親会社であつて他の会社の子会社でないもの及び当該親会社の子会社(当該会社及び当該会社の子会社を除く。)から成る集団をいう。以下同じ。)に属する当該会社以外の会社等(会社、組合(外国における組合に相当するものを含む。以下この条において同じ。)その他これらに類似する事業体をいう。以下この条において同じ。)の国内売上高を公正取引委員会規則で定める方法により合計した額(以下「国内売上高合計額」という。)が二百億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超えるもの(以下この条において「株式取得会社」という。)は、他の会社であつて、その国内売上高と当該他の会社の子会社の国内売上高を公正取引委員会規則で定める方法により合計した額が五十億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超えるもの(以下この条において「株式発行会社」という。)の株式の取得をしようとする場合(金銭又は有価証券の信託に係る株式について、自己が、委託者若しくは受益者となり議決権を行使することができる場合又は議決権の行使について受託者に指図を行うことができる場合において、受託者に株式発行会社の株式の取得をさせようとする場合を含む。)において、当該株式取得会社が当該取得の後において所有することとなる当該株式発行会社の株式に係る議決権の数と、当該株式取得会社の属する企業結合集団に属する当該株式取得会社以外の会社等(第四項において「当該株式取得会社以外の会社等」という。)が所有する当該株式発行会社の株式に係る議決権の数とを合計した議決権の数の当該株式発行会社の総株主の議決権の数に占める割合が、百分の二十を下回らない範囲内において政令で定める数値(複数の数値を定めた場合にあつては、政令で定めるところにより、それぞれの数値)を超えることとなるときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、あらかじめ当該株式の取得に関する計画を公正取引委員会に届け出なければならない。ただし、あらかじめ届出を行うことが困難である場合として公正取引委員会規則で定める場合は、この限りでない。

③ 前項の場合において、当該株式取得会社が当該取得の後において所有することとなる当該株式発行会社の株式に係る議決権には、金銭又は有価証券の信託に係る株式に係る議決権(委託者又は受益者が行使し、又はその行使について受託者に指図を行うことができるものに限る。)、当該株式取得会社が銀行業又は保険業を営む会社(保険業を営む会社にあつては、公正取引委員会規則で定める会社を除く。次項並びに次条第一項及び第二項において同じ。)であり、かつ、他の国内の会社(銀行業又は保険業を営む会社その他公正取引委員会規則で定める会社を除く。次項並びに次条第一項及び第二項において同じ。)の株式の取得をしようとする場合における当該株式取得会社が当該取得の後において所有することとなる株式に係る議決権及び当該株式取得会社が第一種金融商品取引業を営む会社であり、かつ、業務として株式の取得をしようとする場合における当該株式取得会社が当該取得の後において所有することとなる株式に係る議決権を含まないものとし、金銭又は有価証券の信託に係る株式に係る議決権で、自己が、委託者若しくは受益者として行使し、又はその行使について指図を行うことができるもの(公正取引委員会規則で定める議決権を除く。次項において同じ。)及び社債、株式等の振替に関する法律第百四十七条第一項又は第百四十八条第一項の規定により発行者に対抗することができない株式に係る議決権を含むものとする。

④ 第二項の場合において、当該株式取得会社以外の会社等が所有する当該株式発行会社の株式に係る議決権には、金銭又は有価証券の信託に係る株式に係る議決権(委託者又は受益者が行使し、又はその行使について受託者に指図を行うことができるものに限る。)、当該株式取得会社以外の会社等が銀行業又は保険業を営む会社である場合における当該株式取得会社以外の会社等が所有する他の国内の会社の株式に係る議決権及び当該株式取得会社以外の会社等が第一種金融商品取引業を営む会社である場合における当該株式取得会社以外の会社等が業務として所有する株式に係る議決権を含まないものとし、金銭又は有価証券の信託に係る株式に係る議決権で、自己が、委託者若しくは受益者として行使し、又はその行使について指図を行うことができるもの及び社債、株式等の振替に関する法律第百四十七条第一項又は第百四十八条第一項の規定により発行者に対抗することができない株式に係る議決権を含むものとする。

⑤ 会社の子会社である組合(民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項に規定する組合契約によつて成立する組合、投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第二条第二項に規定する投資事業有限責任組合(次条第一項第四号において単に「投資事業有限責任組合」という。)及び有限責任事業組合契約に関する法律(平成十七年法律第四十号)第二条に規定する有限責任事業組合並びに外国の法令に基づいて設立された団体であつてこれらの組合に類似するもの(以下この項において「特定組合類似団体」という。)に限る。以下この項において同じ。)の組合員(特定組合類似団体の構成員を含む。以下この項において同じ。)が組合財産(特定組合類似団体の財産を含む。以下この項において同じ。)として株式発行会社の株式の取得をしようとする場合(金銭又は有価証券の信託に係る株式について、会社の子会社である組合の組合員の全員が、委託者若しくは受益者となり議決権を行使することができる場合又は議決権の行使について受託者に指図を行うことができる場合において、受託者に株式発行会社の株式の取得をさせようとする場合を含む。)には、当該組合の親会社(当該組合に二以上の親会社がある場合にあつては、当該組合の親会社のうち他のすべての親会社の子会社であるものをいう。以下この項において同じ。)が、そのすべての株式の取得をしようとするものとみなし、会社の子会社である組合の組合財産に株式発行会社の株式が属する場合(会社の子会社である組合の組合財産に属する金銭又は有価証券の信託に係る株式について、当該組合の組合員の全員が、委託者若しくは受益者となり議決権を行使することができる場合又は議決権の行使について受託者に指図を行うことができる場合を含む。)には、当該組合の親会社が、そのすべての株式を所有するものとみなして、第二項の規定を適用する。

⑥ 第二項及び前項の「子会社」とは、会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している会社等として公正取引委員会規則で定めるものをいう。

⑦ 第二項及び第五項の「親会社」とは、会社等の経営を支配している会社として公正取引委員会規則で定めるものをいう。

⑧ 第二項の規定による届出を行つた会社は、届出受理の日から三十日を経過するまでは、当該届出に係る株式の取得をしてはならない。ただし、公正取引委員会は、その必要があると認める場合には、当該期間を短縮することができる。

⑨ 公正取引委員会は、第十七条の二第一項の規定により当該届出に係る株式の取得に関し必要な措置を命じようとする場合には、前項本文に規定する三十日の期間又は同項ただし書の規定により短縮された期間(公正取引委員会が株式取得会社に対してそれぞれの期間内に公正取引委員会規則で定めるところにより必要な報告、情報又は資料の提出(以下この項において「報告等」という。)を求めた場合においては、前項の届出受理の日から百二十日を経過した日と全ての報告等を受理した日から九十日を経過した日とのいずれか遅い日までの期間)(以下この条において「通知期間」という。)内に、株式取得会社に対し、第五十条第一項の規定による通知をしなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

一 当該届出に係る株式の取得に関する計画のうち、第一項の規定に照らして重要な事項が当該計画において行われることとされている期限までに行われなかつた場合

二 当該届出に係る株式の取得に関する計画のうち、重要な事項につき虚偽の記載があつた場合

三 当該届出に係る株式の取得に関し、第四十八条の二の規定による通知をした場合において、第四十八条の三第一項に規定する期間内に、同項の規定による認定の申請がなかつたとき。

四 当該届出に係る株式の取得に関し、第四十八条の二の規定による通知をした場合において、第四十八条の三第一項の規定による認定の申請に係る取下げがあつたとき。

五 当該届出に係る株式の取得に関し、第四十八条の二の規定による通知をした場合において、第四十八条の三第一項の規定による認定の申請について同条第六項の規定による決定があつたとき。

六 当該届出に係る株式の取得に関し、第四十八条の五第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定による第四十八条の三第三項の認定(同条第八項の規定による変更の認定を含む。)の取消しがあつた場合

七 当該届出に係る株式の取得に関し、第四十八条の五第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定による第四十八条の三第三項の認定(同条第八項の規定による変更の認定を含む。)の取消しがあつた場合

⑩ 前項第一号の規定に該当する場合において、公正取引委員会は、第十七条の二第一項の規定により当該届出に係る株式の取得に関し必要な措置を命じようとするときは、同号の期限から起算して一年以内に前項本文の通知をしなければならない。

⑪ 第九項第三号の規定に該当する場合において、公正取引委員会は、第十七条の二第一項の規定により当該届出に係る株式の取得に関し必要な措置を命じようとするときは、通知期間に六十日を加算した期間内に、第九項本文の通知をしなければならない。

⑫ 第九項第四号の規定に該当する場合において、公正取引委員会は、第十七条の二第一項の規定により当該届出に係る株式の取得に関し必要な措置を命じようとするときは、通知期間に第四十八条の二の規定による通知の日から同号の取下げがあつた日までの期間に相当する期間を加算した期間内に、第九項本文の通知をしなければならない。

⑬ 第九項第五号の規定に該当する場合において、公正取引委員会は、第十七条の二第一項の規定により当該届出に係る株式の取得に関し必要な措置を命じようとするときは、通知期間に九十日を加算した期間内に、第九項本文の通知をしなければならない。

⑭ 第九項第六号の規定に該当する場合において、公正取引委員会は、第十七条の二第一項の規定により当該届出に係る株式の取得に関し必要な措置を命じようとするときは、第四十八条の五第一項の規定による決定の日から起算して一年以内に第九項本文の通知をしなければならない。

 

第十四条 会社以外の者は、会社の株式を取得し、又は所有することにより一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には、当該株式を取得し、又は所有してはならず、及び不公正な取引方法により会社の株式を取得し、又は所有してはならない。

 

第十九条 事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。

第二十条 前条の規定に違反する行為があるときは、公正取引委員会は、第八章第二節に規定する手続に従い、事業者に対し、当該行為の差止め、契約条項の削除その他当該行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。

② 第七条第二項の規定は、前条の規定に違反する行為に準用する。