競馬法第33条第3号の趣旨
最高裁判所第3小法廷判決/昭和23年(れ)第607号
昭和23年10月12日
【判示事項】 1、地方競馬法第16条第3号及び競馬法第33条第3号の趣旨
2、地方競馬法第16条第3号にあたる罪と賭博罪
3、競馬法第33条第3号にあたる罪の前科と賭博の習癖
【判決要旨】 1、地方競馬法第16条第3号及び競馬法第33条第3号にあたる罪は、性質上賭博罪であって、これら法条は、刑法の賭博罪の要件の外に、所定の特別の要件の加わった場合に、これを同罪より重く処罰するものである。
2、地方競馬法第16条第3号所定の要件を具える所為は、同条を以って処断すべきもので、刑法の賭博罪を以って処断すべきでない。
3、被告人に昭和6年、同12年、同17年及び同18年に競馬法第33条第3号にあたる罪の前科がある事実は、賭博の習癖認定の資料とすることができる。
【参照条文】 刑法185
刑法186-1
地方競馬法16
競馬法33
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集2巻11号1334頁
刑法
(賭と博)
第百八十五条 賭と博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭かけたにとどまるときは、この限りでない。
(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第百八十六条 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
2 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
競馬法
第二十九条 次の各号に掲げる者は、当該各号に定める競馬の競走について、勝馬投票券を購入し、又は譲り受けてはならない。
一 競馬に関係する政府職員 中央競馬の競走及び地方競馬の競走並びに日本中央競馬会、都道府県又は指定市町村が勝馬投票券を発売する海外競馬の競走
二 日本中央競馬会の役員及び職員 中央競馬の競走及び日本中央競馬会が勝馬投票券を発売する海外競馬の競走
三 日本中央競馬会が第二十一条の規定により委託を受けて競馬の実施に関する事務を行う場合におけるその役員及び職員であつて当該委託を受けた事務に関係するもの 当該委託に係る競馬の競走
四 都道府県、指定市町村又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十四条第一項の一部事務組合若しくは広域連合(以下この号において「都道府県等」という。)の職員であつて当該都道府県等が行う競馬に関係するもの 全ての地方競馬の競走及び当該都道府県等が勝馬投票券を発売する海外競馬の競走
五 都道府県、市町村又は地方自治法第二百八十四条第一項の一部事務組合若しくは広域連合が第四条又は第二十一条の規定により委託を受けて競馬の実施に関する事務を行う場合におけるこれらの職員であつて当該委託を受けた事務に関係するもの 当該委託に係る競馬の競走
六 協会の役員及び職員 全ての地方競馬の競走及び都道府県又は指定市町村が勝馬投票券を発売する海外競馬の競走
七 中央競馬の競走に関係する調教師(競走馬の飼養を行う者を含む。以下同じ。)、騎手及び競走馬の飼養又は調教を補助する者 中央競馬の競走
八 地方競馬の競走に関係する調教師、騎手及び競走馬の飼養又は調教を補助する者 全ての地方競馬の競走
九 日本中央競馬会、都道府県又は指定市町村が勝馬投票券を発売する海外競馬の競走に関係する調教師、騎手及び競走馬の飼養又は調教を補助する者 当該海外競馬の競走
十 その他競馬の事務に従事する者 当該競馬の競走
第三十三条 第二十九条の規定に違反した者は、二百万円以下の罰金に処する。