日本熱学工業の代表取締役副社長らが,将来自社の株式を証券取引所第二部に上場して,証券市場並びに金 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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日本熱学工業の代表取締役副社長らが,将来自社の株式を証券取引所第二部に上場して,証券市場並びに金融機関からの資金調達を円滑にするため,株主に対する利益配当を継続しようなどと企てた粉飾決算事件で,執行猶予付き懲役刑に処せられた事例

 

 

大阪地裁、日本熱学工業の粉飾決算事件で判決

【事件番号】      大阪地方裁判所判決/昭和49年(わ)第1960号、昭和50年(わ)第89号

【判決日付】      昭和52年6月28日

【判示事項】      日本熱学工業の代表取締役副社長らが,将来自社の株式を証券取引所第二部に上場して,証券市場並びに金融機関からの資金調達を円滑にするため,株主に対する利益配当を継続しようなどと企てた粉飾決算事件で,執行猶予付き懲役刑に処せられた事例

【掲載誌】        商事法務780号30頁

【評釈論文】      別冊ジュリスト100号8頁

 

会社法

(会社財産を危うくする罪)

第九百六十三条 第九百六十条第一項第一号又は第二号に掲げる者が、第三十四条第一項若しくは第六十三条第一項の規定による払込み若しくは給付について、又は第二十八条各号に掲げる事項について、裁判所又は創立総会若しくは種類創立総会に対し、虚偽の申述を行い、又は事実を隠ぺいしたときは、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 第九百六十条第一項第三号から第五号までに掲げる者が、第百九十九条第一項第三号又は第二百三十六条第一項第三号に掲げる事項について、裁判所又は株主総会若しくは種類株主総会に対し、虚偽の申述を行い、又は事実を隠ぺいしたときも、前項と同様とする。

3 検査役が、第二十八条各号、第百九十九条第一項第三号又は第二百三十六条第一項第三号に掲げる事項について、裁判所に対し、虚偽の申述を行い、又は事実を隠ぺいしたときも、第一項と同様とする。

4 第九十四条第一項の規定により選任された者が、第三十四条第一項若しくは第六十三条第一項の規定による払込み若しくは給付について、又は第二十八条各号に掲げる事項について、創立総会に対し、虚偽の申述を行い、又は事実を隠ぺいしたときも、第一項と同様とする。

5 第九百六十条第一項第三号から第七号までに掲げる者が、次のいずれかに該当する場合にも、第一項と同様とする。

一 何人の名義をもってするかを問わず、株式会社の計算において不正にその株式を取得したとき。

二 法令又は定款の規定に違反して、剰余金の配当をしたとき。

三 株式会社の目的の範囲外において、投機取引のために株式会社の財産を処分したとき。

 

 

   《主 文》

  一、被告人らを懲役一〇月に各処する。

  二、被告人らに対し右裁判確定の日からそれぞれ二年間右刑の執行を猶予する。

  三、訴訟費用中、証人服部正毅に支給した分(第二九回公判期日で取調。昭和五一年二月九日支給分。)は全部被告人大熊芳郎の負担とし、証人田中仁栄(同五〇年九月九日支給。)、同白井為雄(同上)に各支給した分は全部被告人松井雄之亮の負担とし、被告人湯浅利郎の国選弁護人に支給した分は全部被告人の負担とする。