日本法人がドイツに居住する日本人に対して契約上の金銭債務の履行を求める訴訟につき日本の国際裁判管 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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日本法人がドイツに居住する日本人に対して契約上の金銭債務の履行を求める訴訟につき日本の国際裁判管轄が否定された事例

 

 

預託金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成5年(オ)第1660号

【判決日付】      平成9年11月11日

【判示事項】      日本法人がドイツに居住する日本人に対して契約上の金銭債務の履行を求める訴訟につき日本の国際裁判管轄が否定された事例

【判決要旨】      ドイツから自動車等を輸入している日本法人甲がドイツに居住する日本人乙に対して契約上の金銭債務の履行を求める訴訟について、右契約が、ドイツ国内で締結され、甲が乙に同国内における種々の業務を委託することを目的とするものであり、右契約において日本国内の地を債務の履行場所とすること又は準拠法を日本法とすることが明示的に合意されていたわけではなく、乙が二〇年以上にわたりドイツ国内に生活上及び営業上の本拠を置いており、乙の防御のための証拠方法も同国内に集中しているなど判示の事実関係の下においては、日本の国際裁判管轄を否定すべきである。

【参照条文】      民事訴訟法1編1章

             民事訴訟法

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集51巻10号4055頁

 

民事訴訟法

(財産権上の訴え等についての管轄)

第五条 次の各号に掲げる訴えは、それぞれ当該各号に定める地を管轄する裁判所に提起することができる。

一 財産権上の訴え

 

義務履行地

二 手形又は小切手による金銭の支払の請求を目的とする訴え

 

手形又は小切手の支払地

三 船員に対する財産権上の訴え

 

船舶の船籍の所在地

四 日本国内に住所(法人にあっては、事務所又は営業所。以下この号において同じ。)がない者又は住所が知れない者に対する財産権上の訴え

 

請求若しくはその担保の目的又は差し押さえることができる被告の財産の所在地

五 事務所又は営業所を有する者に対する訴えでその事務所又は営業所における業務に関するもの

 

当該事務所又は営業所の所在地

六 船舶所有者その他船舶を利用する者に対する船舶又は航海に関する訴え

 

船舶の船籍の所在地

七 船舶債権その他船舶を担保とする債権に基づく訴え

 

船舶の所在地

八 会社その他の社団又は財団に関する訴えで次に掲げるもの
イ 会社その他の社団からの社員若しくは社員であった者に対する訴え、社員からの社員若しくは社員であった者に対する訴え又は社員であった者からの社員に対する訴えで、社員としての資格に基づくもの
ロ 社団又は財団からの役員又は役員であった者に対する訴えで役員としての資格に基づくもの
ハ 会社からの発起人若しくは発起人であった者又は検査役若しくは検査役であった者に対する訴えで発起人又は検査役としての資格に基づくもの
ニ 会社その他の社団の債権者からの社員又は社員であった者に対する訴えで社員としての資格に基づくもの

 

社団又は財団の普通裁判籍の所在地

九 不法行為に関する訴え

 

不法行為があった地

十 船舶の衝突その他海上の事故に基づく損害賠償の訴え

 

損害を受けた船舶が最初に到達した地

十一 海難救助に関する訴え

 

海難救助があった地又は救助された船舶が最初に到達した地

十二 不動産に関する訴え

 

不動産の所在地

十三 登記又は登録に関する訴え

 

登記又は登録をすべき地

十四 相続権若しくは遺留分に関する訴え又は遺贈その他死亡によって効力を生ずべき行為に関する訴え

 

相続開始の時における被相続人の普通裁判籍の所在地

十五 相続債権その他相続財産の負担に関する訴えで前号に掲げる訴えに該当しないもの

 

同号に定める地