地震の被災会社が企業再建を理由としてした整理解雇につき、その対象者選定が著しく客観性を欠くとして | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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地震の被災会社が企業再建を理由としてした整理解雇につき、その対象者選定が著しく客観性を欠くとして無効とした事例

 

新潟地方裁判所判決/昭和40年(ワ)第153号

昭和44年10月7日

解雇無効確認等請求事件

【判示事項】    1、企業の整備、再建計画に基づく整理解雇が無効とされる場合

2、地震の被災会社が企業再建を理由としてした整理解雇につき、その対象者選定が著しく客観性を欠くとして無効とした事例

3、被解雇者の他で得た収入が民法第536条第2項ただし書に該当しないとされた事例

【判決要旨】    1、企業の整備、再建計画の樹立およびその内容決定等は元来経営者の専権に属するものというべきであるから、一般に会社の経営が困難に陥ったときに企業の整備、再建計画に基づいて余剰とされた人員を解雇することは、それがたとえ従業員の責めに帰すべからざる事由による場合であっても原則として許容されるところであり、ただ、その解雇手続が労働協約に違反する場合、解雇が不当労働行為となる場合、あるいは解雇権の行使が権利濫用に当たる場合に限って解雇が無効となるにすぎない。

2、地震の被災による損失を原因とし、会社再建をその理由としてした整理解雇につき、企業の存立維持のためにはやむをえなかったものと認められるが、整理の1環として希望退職を募ってこれを円滑に遂行することもなく、また解雇基準が合理性を欠く等その対象者の選定に著しく客観性を欠くもので権利の濫用として無効であるとした事例

3、省略

【掲載誌】     労働関係民事裁判例集20巻5号1257頁