発行済株式の少なくとも4分の1を有する1名の株主に対する株主総会招集通知がなされなかった事例
株主総会決議取消等請求事件
【事件番号】 名古屋地方裁判所判決/平成3年(ワ)第3953号
【判決日付】 平成5年1月22日
【判示事項】 一 株主の内の一名にのみ招集通知がされた株主総会の決議が不存在とされた事例
二 五名の取締役の内の一名が残りの四名の取締役に対して招集通知をせずに、不存在とされた株主総会により取締役に選任されたとする二名の者を招集してなされた取締役会決議が無効とされた事例
【参照条文】 商法252
商法260
商法260の2
【掲載誌】 判例タイムズ839号252頁
会社法
(株主総会の招集の決定)
第二百九十八条 取締役(前条第四項の規定により株主が株主総会を招集する場合にあっては、当該株主。次項本文及び次条から第三百二条までにおいて同じ。)は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 株主総会の日時及び場所
二 株主総会の目的である事項があるときは、当該事項
三 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
四 株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
五 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
2 取締役は、株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。次条から第三百二条までにおいて同じ。)の数が千人以上である場合には、前項第三号に掲げる事項を定めなければならない。ただし、当該株式会社が金融商品取引法第二条第十六項に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社であって法務省令で定めるものである場合は、この限りでない。
3 取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株主総会において決議をすることができる事項」とあるのは、「前項第二号に掲げる事項」とする。
4 取締役会設置会社においては、前条第四項の規定により株主が株主総会を招集するときを除き、第一項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。
(株主総会等の決議の不存在又は無効の確認の訴え)
第八百三十条 株主総会若しくは種類株主総会又は創立総会若しくは種類創立総会(以下この節及び第九百三十七条第一項第一号トにおいて「株主総会等」という。)の決議については、決議が存在しないことの確認を、訴えをもって請求することができる。
2 株主総会等の決議については、決議の内容が法令に違反することを理由として、決議が無効であることの確認を、訴えをもって請求することができる。
主 文
一 被告の平成三年一〇月二二日開催の株主総会における、別紙役員目録
(一)記載の取締役・監査役を解任し、同(二)記載の者を取締役・監査役に選任する旨の各決議が存在しないことを確認する。
二 被告の平成三年一〇月二二日開催の取締役会における、中村裕を代表取締役に選任する旨の決議が無効であることを確認する。
三 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第一 請求
主文同旨
第二 事案の概要
本件は、原告が被告に対し、株主権及び取締役の地位に基づき、左記一2(一)及び同3(一)の各決議について、それぞれ同各(ニ)の事由を原因として、その不存在ないし無効の確認を求める事案である。