パチスロ機製造業界のパテントプールに参加し,「スロットマシン」の特許権の再実施の許諾を得ている被 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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パチスロ機製造業界のパテントプールに参加し,「スロットマシン」の特許権の再実施の許諾を得ている被控訴人に対し,実施許諾契約終了したとして,控訴人が保有する特許権の侵害による損害賠償を求めたが,原判決は,被控訴人製品は前記特許権の技術的範囲に属すると認定したものの実施許諾契終了との控訴人の主張を排斥したので,控訴人が控訴した事案である。

 

 

              民事訴訟事件

【事件番号】      東京高等裁判所/平成14年(ネ)第4085号

【判決日付】      平成15年6月4日

【判示事項】      1 パチスロ機製造業界のパテントプールに参加し,「スロットマシン」の特許権の再実施の許諾を得ている被控訴人に対し,実施許諾契約終了したとして,控訴人が保有する特許権の侵害による損害賠償を求めたが,原判決は,被控訴人製品は前記特許権の技術的範囲に属すると認定したものの実施許諾契終了との控訴人の主張を排斥したので,控訴人が控訴した事案である。

             2 本件実施許諾契約は自動更新され,被控訴人に再実施許諾されているものと認められるとして,控訴を棄却した。

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      金融・商事判例1192号60頁

             ジュリスト1264号124頁

             ジュリスト臨時増刊1269号247頁

 

 

パテントプール(英: patent pool、特許プール)とは、特定のテクノロジーに関連した特許のクロスライセンス契約に合意した2つ以上の企業によるコンソーシアムである。特許権所有者とライセンシーの時間と金を節約すると同時に、複雑に関連した特許群においては、その発明を実用化するのにパテントプールが唯一の妥当な方法になる場合もある。

 

 

       主   文

 

 1 本件控訴を棄却する。

 2 控訴費用は控訴人の負担とする。

 

       事実及び理由

 

第1 当事者の求めた裁判

 1 控訴人

(1)原判決を取り消す。

(2)被控訴人は,控訴人に対し,15億円及びこれに対する平成11年1月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(3)訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

(4)仮執行の宣言

2 被控訴人

 主文と同旨

第2 事案の概要

1 被控訴人補助参加人は控訴人との間で,控訴人の保有する特許権等につき,平成6年以降,毎年4月1日から翌年3月31日までの期間を1年間として,多数のパチスロ機製造業者への再実施許諾権付きで実施許諾をする旨の実施許諾契約を締結している者であるが,同契約は平成7年,同8年に更新され,平成8年の更新時に,控訴人の保有する発明の名称をスロットマシンとする特許権(昭和58年4月8日出願,平成3年11月18日出願公告,平成7年2月24日登録。特許番号第1905552号)が上記実施許諾契約の対象に加えられた。本件は,控訴人が,被控訴人補助参加人から発明の名称をスロットマシンとする上記特許権の再実施の許諾を得ている被控訴人に対し,平成8年に更新された上記実施許諾契約は平成9年3月31日をもって終了しているとした上,被控訴人の製造・販売する原判決別紙物件目録記載のパチンコ型スロットマシンは,控訴人の上記特許権の技術的範囲に属し,上記特許権を侵害すると主張して,被控訴人に対し損害賠償を求めた事件である。

原判決は,被控訴人の製造・販売する上記物件は上記特許権の技術的範囲に属すると認定したものの,上記実施許諾契約が終了しているとの控訴人の主張を排斥し,控訴人の請求を棄却したので,控訴人は,原判決を不服として,本件控訴を提起した。