何者かに殺害されたJR関係労働組合の幹部の合同葬に使用するためにされた市福祉会館の使用許可申請に | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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何者かに殺害されたJR関係労働組合の幹部の合同葬に使用するためにされた市福祉会館の使用許可申請に対し、同会館設備及び管理条例が使用を許可しない事由として定める「会館の管理上支障があると認められるとき」当たるとしてされた不許可処分が違法とされた事例

 

上尾市福祉会館事件

 

国家賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成5年(オ)第1285号

【判決日付】      平成8年3月15日

【判示事項】      何者かに殺害されたJR関係労働組合の幹部の合同葬に使用するためにされた市福祉会館の使用許可申請に対し、同会館設備及び管理条例が使用を許可しない事由として定める「会館の管理上支障があると認められるとき」当たるとしてされた不許可処分が違法とされた事例

【判決要旨】      何者かに殺害されたJR関係の労働者の連合体の総務部長の合同葬に使用するためにされた市福祉会館の使用許可申請に対し、上尾市福祉会館設備及び管理条例(昭和四六年上尾市条例第二七号)六条一項一号が使用を許可しない事由として定める「会館の管理上支障があると認められるとき」に当たるとしてされた不許可処分は、右殺害事件についていわゆる内ゲバ事件ではないかとみて捜査が進められている旨の新聞報道があったとしても、右合同葬の際にまでその主催者と対立する者らの妨害等による混乱が生ずるおそれがあるとは考え難い状況にあった上、警察の警備等によってもなお混乱を防止することができない特別な事情があったとはいえず、右会館の施設の物的構造等に照らせば、右会館を合同葬に使用することがその設置目的やその確立した運営方針に反するとまでいうことができないことなど判示の事情の下においては、「会館の管理上支障がある」との事態が生ずることが、客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測されたものということはできず、違法というべきである。

【参照条文】      地方自治法244

             上尾市福祉会館設置及び管理条例(昭46上尾市条例27号)6-1

             憲法21

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集50巻3号549頁

 

 

 

憲法

第二十一条1項 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

 

地方自治法

(公の施設)

第二百四十四条 普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。

2 普通地方公共団体(次条第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。

3 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。

 

(公の施設の設置、管理及び廃止)

第二百四十四条の二 普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない。

2 普通地方公共団体は、条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて、これを廃止し、又は条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席議員の三分の二以上の者の同意を得なければならない。

3 普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(以下本条及び第二百四十四条の四において「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができる。

4 前項の条例には、指定管理者の指定の手続、指定管理者が行う管理の基準及び業務の範囲その他必要な事項を定めるものとする。

5 指定管理者の指定は、期間を定めて行うものとする。

6 普通地方公共団体は、指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ、当該普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。

7 指定管理者は、毎年度終了後、その管理する公の施設の管理の業務に関し事業報告書を作成し、当該公の施設を設置する普通地方公共団体に提出しなければならない。

8 普通地方公共団体は、適当と認めるときは、指定管理者にその管理する公の施設の利用に係る料金(次項において「利用料金」という。)を当該指定管理者の収入として収受させることができる。

9 前項の場合における利用料金は、公益上必要があると認める場合を除くほか、条例の定めるところにより、指定管理者が定めるものとする。この場合において、指定管理者は、あらかじめ当該利用料金について当該普通地方公共団体の承認を受けなければならない。

10 普通地方公共団体の長又は委員会は、指定管理者の管理する公の施設の管理の適正を期するため、指定管理者に対して、当該管理の業務又は経理の状況に関し報告を求め、実地について調査し、又は必要な指示をすることができる。

11 普通地方公共団体は、指定管理者が前項の指示に従わないときその他当該指定管理者による管理を継続することが適当でないと認めるときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて管理の業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。