安愚楽牧場、情報公開法、行政文書不開示処分取消請求事件 行政文書不開示処分取消請求事件 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

安愚楽牧場、情報公開法、行政文書不開示処分取消請求事件

 

 

行政文書不開示処分取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/令和2年(行ヒ)第340号、令和2年(行ヒ)第341号

【判決日付】      令和4年5月17日

【判示事項】      預託法(平成21年法律第49号による改正前のもの)違反及び景表法(平成26年法律第71号による改正前のもの)違反に係る調査の結果に関する情報が情報公開法(平成26年法律第67号による改正前のもの)5条6号イ所定の不開示情報に該当しないとした原審の判断に違法があるとされた事例

【掲載誌】        判例タイムズ1500号67頁

             LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      判例秘書ジャーナルHJ100148

行政情報公開法5-6-イ

預託取引法10

景表法6

 

 

平成十一年法律第四十二号

行政機関の保有する情報の公開に関する法律

(行政文書の開示義務)

第五条 行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない。

一 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項をいう。次条第二項において同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。

イ 法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報

ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報

ハ 当該個人が公務員等(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人の役員及び職員を除く。)、独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号。以下「独立行政法人等情報公開法」という。)第二条第一項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)の役員及び職員、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二条に規定する地方公務員並びに地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員及び職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分

一の二 個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第六十条第三項に規定する行政機関等匿名加工情報(同条第四項に規定する行政機関等匿名加工情報ファイルを構成するものに限る。以下この号において「行政機関等匿名加工情報」という。)又は行政機関等匿名加工情報の作成に用いた同条第一項に規定する保有個人情報から削除した同法第二条第一項第一号に規定する記述等若しくは同条第二項に規定する個人識別符号

二 法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。

イ 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの

ロ 行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの

三 公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報

四 公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報

五 国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの

六 国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの

イ 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ

ロ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ

ハ 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ

ニ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ

ホ 独立行政法人等、地方公共団体が経営する企業又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ

 

 

昭和六十一年法律第六十二号

預託等取引に関する法律

(確認の申請)

第十条 預託等取引業者は、前条第一項の確認(同条第二項の確認の更新を含む。以下同じ。)を受けようとするときは、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。

一 商号、名称又は氏名

二 本店、支店その他の事業所の名称及び所在地

三 法人である場合においては、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。)の氏名及び住所

四 確認の対象となる勧誘等に係る物品又は特定権利の種類

五 次条第一項第一号から第四号までに掲げる事項

六 その他内閣府令で定める事項

2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。

一 法人である場合においては、定款及び法人の登記事項証明書(これらに準ずるものを含む。)

二 貸借対照表

三 損益計算書

四 その他内閣府令で定める書類

3 前項の場合において、定款、貸借対照表又は損益計算書が電磁的記録で作成されているときは、書類に代えて電磁的記録に係る記録媒体を添付することができる。

 

 

昭和三十七年法律第百三十四号

不当景品類及び不当表示防止法

(景品類の制限及び禁止並びに不当な表示の禁止に係る指定に関する公聴会等及び告示)

第六条 内閣総理大臣は、第四条の規定による制限若しくは禁止若しくは前条第三号の規定による指定をし、又はこれらの変更若しくは廃止をしようとするときは、内閣府令で定めるところにより、公聴会を開き、関係事業者及び一般の意見を求めるとともに、消費者委員会の意見を聴かなければならない。

2 前項に規定する制限及び禁止並びに指定並びにこれらの変更及び廃止は、告示によつて行うものとする。

 

 

 

       主   文

 

 1 原判決中、次の部分を破棄する。

  (1) 上告人敗訴部分のうち、別紙目録記載3から11までの部分に関する部分

  (2) 被上告人敗訴部分のうち、別紙目録記載1及び2の部分に関する部分

 2 前項の破棄部分につき、本件を東京高等裁判所に差し戻す。

 3 上告人のその余の上告を棄却する。

 4 前項に関する上告費用は、上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 第1 事案の概要

 1 本件は、被上告人が、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成26年法律第67号による改正前のもの。以下「情報公開法」という。)に基づき、消費者庁長官に対し、株式会社安愚楽牧場(旧商号は有限会社安愚楽共済牧場。以下「本件会社」という。)に関する行政文書の開示を請求したところ、これに該当する行政文書のうち別紙目録記載の部分等に記録された情報が情報公開法5条6号イ等所定の不開示情報に該当するとして、当該部分等を除いた一部を開示する旨等の各決定(以下「本件各決定」という。)を受けたため、本件各決定のうち別紙目録記載の部分等に関する部分の取消しを求める事案である。