土地明渡請求事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷判決/昭和27年(オ)第890号
【判決日付】 昭和30年10月4日
【判示事項】 一筆の土地の一部を除外して売買がなされたと認むべき一事例
【判決要旨】 甲乙間に甲所有の(い)の土地並びに同地上の家屋(店舗および附属工場)の売買が成立した場合において、本来(い)の土地には、右家屋のほか、なお甲所有の土蔵が存するにかかわらず登記簿上、土蔵は隣地たる甲所有の(ろ)の土地に所在することになつており、甲乙双方とも売買成立後相当日時を経過するまで、右土蔵敷地が(い)の土地の一部であることを知らず、右土蔵自体は前記売買の目的とされなかつたものであり、しかも乙は売買当時現場に検分に行つたが、当時甲乙間で土蔵の収去または存置等の処置について協議した形跡もない以上、他に特段の事情のないかぎり、前記売買においては、右(い)の土地(一筆全部で77坪5勺)中、土蔵の敷地(20坪4合2勺)は売買の目的から除外する暗黙の意思表示があつたものと認めるのが相当である。
【参照条文】 民法1編(総則)第4章(法律行為)1節(総則)
民法3編(債權)第2章(契約)第1節(総則)第1款(契約ノ成立)
民法176
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集9巻11号1521頁
民法
第二編 物権
第一章 総則
(物権の設定及び移転)
第百七十六条 物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。