美術の著作物の原作品につきその無体物の面を利用する行為と所有権侵害の成否
「顔真卿自書建中告身帖」事件
書籍所有権侵害禁止請求事件
【事件番号】 最高裁判所第2小法廷判決/昭和58年(オ)第171号
【判決日付】 昭和59年1月20日
【判示事項】 美術の著作物の原作品につきその無体物の面を利用する行為と所有権侵害の成否
【判決要旨】 美術の著作物の原作品の所有者でない者が、有体物としての原作品に対する所有権の排他的支配権能をおかすことなく原作品の無体物としての著作物の面を利用しても、原作品の所有権を侵害するものとはいえない。
【参照条文】 民法206
著作権法2-1
著作権法45-1
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集38巻1号1頁
民法
第三章 所有権
第一節 所有権の限界
第一款 所有権の内容及び範囲
(所有権の内容)
第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
著作権法
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
二 著作者 著作物を創作する者をいう。
(美術の著作物等の原作品の所有者による展示)
第四十五条 美術の著作物若しくは写真の著作物の原作品の所有者又はその同意を得た者は、これらの著作物をその原作品により公に展示することができる。
2 前項の規定は、美術の著作物の原作品を街路、公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置する場合には、適用しない。