共謀して有価証券取引のため及び有価証券の相場の変動を図る目的で業績予想を上方修正する虚偽の内容を公表し偽計を行った被告人らから、それぞれが得た証拠上明確な株売却代金相当額を追徴した事例
東京地方裁判所判決/平成27年(特わ)第1259号、平成27年(特わ)第1450号
平成28年2月23日
金融商品取引法違反被告事件
【判示事項】 共謀して有価証券取引のため及び有価証券の相場の変動を図る目的で業績予想を上方修正する虚偽の内容を公表し偽計を行った被告人らから、それぞれが得た証拠上明確な株売却代金相当額を追徴した事例
【参照条文】 金融商品取引法197-1
金融商品取引法158
金融商品取引法198の2-1
金融商品取引法198の2-1ただし書
金融商品取引法198の2-2
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載
【解説】
〔審級関係等〕 確定
1 事案の概要
本件は、精密機器などの開発等を営む株式会社Y1の代表取締役Y2及び同社の常務取締役で連結子会社である株式会社の代表取締役をしていたY3が、被告会社Y1社の業務及び財産に関し、(1) 被告人Y2及び同Y3共謀の上、同社の株券の売買のため及び株価の上昇維持の目的で、東京証券取引所が提供する適時開示情報伝達システムTDnetを介し、当初予想で見込んでいなかったバイオディーゼル発電機の販売設置等により平26年6月期第2四半期及び通期に売上高、営業利益、経常利益及び当期利益の拡大が見込めるため、連結業績予想につき上方修正する旨の虚偽の内容を含む「業績予想の修正に関するお知らせ」を公表し、有価証券の取引のため及び有価証券の相場の変動を図る目的をもって偽計を用い、(2) 被告人Y2がY3と共謀の上、同社の入力装置から開示用電子情報処理組織を使用して、関東財務局長に対し、架空売上を計上するなどの方法により、虚偽の連結損益計算書を掲載した、重要な事項に虚偽の記載のある有価証券報告書を提出した事案である。