日本公認会計士協会がその所属する公認会計士に対して行った日本公認会計士協会会則に基づく戒告の懲戒処分が違法であることを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求に係る訴えは裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に当たるか(積極)
大阪高等裁判所判決/平成25年(ネ)第2726号
平成26年2月27日
懲戒処分取消等請求控訴事件
【判示事項】 1 日本公認会計士協会がその所属する公認会計士に対して行った日本公認会計士協会会則に基づく戒告の懲戒処分の取消しまたは無効確認を求める訴えは裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に当たるか(消極)
2 上記戒告の懲戒処分が違法であることを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求に係る訴えは裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に当たるか(積極)
3 上記戒告の懲戒処分がされた事実を日本公認会計士協会の会報に掲載するなどしたことが信用ないし名誉毀損に当たることを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求に係る訴えは裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に当たるか(積極)
【判決要旨】 1 Y(日本公認会計士協会)がその所属する公認会計士であるXに対して行った日本公認会計士協会会則に基づく戒告の懲戒処分は、その根拠、内容、程度および手続等に鑑み、いまだXの一般市民秩序に係る権利利益を侵害するものとはいえず、一般市民秩序と直接の関係を有しないY内部の問題にとどまるから、司法審査の対象とはならず、上記戒告の懲戒処分の取消しないし無効確認を求める訴えは、裁判所法3条1項の「法律上の争訟」には当たらない。
2 上記戒告の懲戒処分の違法を理由とする損害賠償請求は、団体であるY内部においてされた懲戒処分の効力を前提とする具体的な権利関係ないし法律関係に関する訴訟であり、Xの一般市民秩序に係る権利利益を侵害することを主張するものであるから、上記損害賠償請求に係る訴えは裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に当たるが、上記戒告の懲戒処分は、本来、高度な自主性、自律性を持つYの内部規律の問題としてその自治的措置に委ねられるべきものであるから、上記戒告の懲戒処分の当否については、Yの定めた会則が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り、会則に照らし、適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり、その審理も上記の点に限られる。
3 上記戒告の懲戒処分が公示されたことによるXの信用ないし名誉毀損を理由とする損害賠償請求は、Yが上記懲戒処分をしたとの事実を摘示し、これを会報等に公示して不特定多数の者に知らしめ、Xの社会的評価を低下させたことが不法行為法上違法であることを請求原因として主張する趣旨と解され、上記戒告の懲戒処分の効力を前提としない具体的な権利義務ないし法律関係に関する訴訟であり、Xの一般市民秩序に係る権利利益を侵害することを主張するものであるから、裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に当たる。
【参照条文】 裁判所法3-1
民法709
公認会計士法1
公認会計士法1の2
公認会計士法29
公認会計士法30-1
公認会計士法30-2
公認会計士法31
公認会計士法43-1
公認会計士法43-2
公認会計士法44-1
公認会計士法46の2
【掲載誌】 金融・商事判例1470号30頁