期間1年間の出講契約更新を25年間にわたり繰り返してきた予備校非常勤講師X(控訴人)の次年度の出講契約が成立せず,契約が終了したことにつき,本件出講契約が一律に労働契約であるとは認められないものの,X・Y間には雇用関係とみて矛盾のない関係が長期間にわたって継続して形成されてきており,その法律関係の評価については慎重な検討が必要であるとされ,その実態を直視するならば,本件の出講契約には使用従属関係が認められるといえ,両者間の法律関係は労働契約関係であるとされた例
福岡高等裁判所判決/平成20年(ネ)第546号
平成21年5月19日
従業員の地位確認等請求控訴事件
【判示事項】 1 期間1年間の出講契約更新を25年間にわたり繰り返してきた予備校非常勤講師X(控訴人)の次年度の出講契約が成立せず,契約が終了したことにつき,本件出講契約が一律に労働契約であるとは認められないものの,X・Y間には雇用関係とみて矛盾のない関係が長期間にわたって継続して形成されてきており,その法律関係の評価については慎重な検討が必要であるとされ,その実態を直視するならば,本件の出講契約には使用従属関係が認められるといえ,両者間の法律関係は労働契約関係であるとされた例
2 新たな出講契約の締結に当たって,学校法人Y(被控訴人)は何ら合理的な理由も必要もないのに前年度よりも不利益な内容の契約に変更することは許されず,その目的自体には合理性が肯定されたとしても,労働者の生活を脅かすほどの減収を来すような不利益な変更も相当ということはできないのであって,その程度も自ずと合理的な範囲に限られるとされた例
3 Xの次年度の契約が不成立となったのは新たな契約の締結をX自身の意思で拒否したためであって,Yによる雇止めには当たらないとして,地位確認請求等が棄却された例
4 次年度の出講契約の条件について争いがある中で,Yは個別労働関係紛争解決促進法によるあっせん手続を拒否してその提案に固執し,事後の司法解決を前提としたXの提案も拒否したもので,そのような強硬一辺倒の態度が,Xをして契約締結の不承諾という事態を招いた面があることは否定できず,その限りでXに対する不法行為を構成するとして慰謝料350万円を認め,Xの請求をすべて棄却した一審判決が一部変更された例
【掲載誌】 労働判例989号39頁
労働経済判例速報2075号18頁