銃砲刀剣類所持等取締法14項1項に規定する「美術品若しくは骨とう品として価値のある火なわ式銃砲等 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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銃砲刀剣類所持等取締法14項1項に規定する「美術品若しくは骨とう品として価値のある火なわ式銃砲等の古式銃砲」の鑑定基準として、銃砲刀剣類登録規則4条1項が、その製造時期ないし伝来時期を「おおむね慶応3年以前」と規定したことは、同法14条5項の委任の趣旨に反するか(消極)

 

最高裁判所第2小法廷判決/昭和59年(行ツ)第17号

昭和62年11月20日

銃砲登録申請却下処分取消請求上告事件

【判示事項】    1 銃砲刀剣類所持等取締法14条5項が古式銃砲の鑑定基準を銃砲刀剣類登録規則に委任した趣旨

2 銃砲刀剣類所持等取締法14項1項に規定する「美術品若しくは骨とう品として価値のある火なわ式銃砲等の古式銃砲」の鑑定基準として、銃砲刀剣類登録規則4条1項が、その製造時期ないし伝来時期を「おおむね慶応3年以前」と規定したことは、同法14条5項の委任の趣旨に反するか(消極)

3 1878年(明治11年)以降製造された米国製ピン打ち式(かに目式)銃砲が銃砲刀剣類所持等取締法14条1項に定める古式銃砲に当たらないとして登録申請を却下した処分が適法であるとされた事例

【判決要旨】    1 銃砲刀剣類所持等取締法14条5項が古式銃砲の鑑定基準を銃砲刀剣類登録規則に委任したのは、どのような古式銃砲を我が国において文化財的価値を有するものとして登録の対象とするのが相当であるかの判断には、専門的技術的な検討を必要とすることから、登録に際しては、専門的知識経験を有する登録審査委員の鑑定に基づくことを要するものとするとともに、その鑑定の基準を設定すること自体も専門的技術的な領域に属するものとした趣旨であり、したがって規則においていかなる鑑定の基準を定めるかについては、法の委任の趣旨を逸脱しない範囲において、所管行政庁に専門的技術的観点からの一定の裁量権を認められているものと解するのが相当である。

2 銃砲刀剣類登録規則4条1項が文化財的価値のある古式銃砲の鑑定基準として、古式銃砲の製造時期ないし伝来時期を「おおむね慶応3年以前」と定め、この基準に合致するもののみを我が国において文化財的価値を有するものとして登録の対象にすべきものとしたことは、銃砲刀剣類所持等取締法14条1項の趣旨に沿う合理性を有する鑑定基準を定めたものというべきであるから、同条5項の委任の趣旨を逸脱する無効のものということはできない。

          3 <略>

【参照条文】    銃砲刀剣類所持等取締法14-5

          銃砲刀剣類所持等取締法14-1

          銃砲刀剣類登録規則4-1

【掲載誌】     訟務月報34巻4号695頁

          最高裁判所裁判集民事152号209頁