農地法3条1項所定の許可を受けていない無効な転貸借契約の転借人は、賃借人の履行補助者として農地を使用してきたにすぎないから、右転借人が農地賃貸借の解除許可処分の取消しによって受ける利益は事実上の利益であって法律上の利益ではないとして、右転借人は、右解除許可処分の取消訴訟の原告適格を有しないとした事例
高知地方裁判所判決/昭和63年(行ウ)第2号
平成2年10月8日
農地賃貸借契約解除許可処分取消請求事件
【判示事項】 1、農地法3条1項所定の許可を受けていない無効な転貸借契約の転借人は、賃借人の履行補助者として農地を使用してきたにすぎないから、右転借人が農地賃貸借の解除許可処分の取消しによって受ける利益は事実上の利益であって法律上の利益ではないとして、右転借人は、右解除許可処分の取消訴訟の原告適格を有しないとした事例
2、農地法2条5項は、同法3条以下の規定の適用に当たって、耕作の事業を行う個人を基準とせず、その者の属する世帯を基準として「自作」と「小作」との区別をすることとした規定であり、農地法上一般的に、世帯員が所有権その他の権利を有する農地について、耕作の事業を行っている他の世帯員がその権利を有するものとみなす旨を定めた規定ではないとして、農地の賃借人の世帯員は、当該農地の賃貸借の解除許可処分の取消訴訟の原告適格を有しないとした事例
3、農地賃貸借の解除の許可申請に対し、農地法20条2項1号所定の「賃借人が信義に反した行為をした場合」に該当するとしてされた許可処分が、内容上も手続上も違法はないとされた事例
【掲載誌】 行政事件裁判例集41巻10号1628頁