公海上における異国籍船舶衝突の場合の不法行為責任の準拠法
仙台高等裁判所判決/平成元年(ネ)第431号
平成6年9月19日
損害賠償請求事件
【判示事項】 1 公海上における異国籍船舶衝突の場合の不法行為責任の準拠法
2 船主責任制限の準拠法
3 船舶所有者等が旧船主責任制限法(昭和50年法律第94号、昭和57年法律第54号による改正前のもの)による船主責任制限手続開始の申立をしたがその開始決定がされていない場合に制限債権者が船舶所有者等に対して無条件の給付判決を求めることの可否
【判決要旨】 1 公海上における船舶国籍を異にする船舶間の衝突の賣の不法行為責任の成立及びその効力については、加害船舶と被害船舶の双方の旗国法を重量的に適用し、各旗国法が共に成立を認める場合に重なる効力の限度において船主の責任を認めるべきである。
2 船主責任制限の準拠法は法定地法と解される。
3 船舶所有者等が旧船主責任制限法所定の船主責任制限の申立をした場合であっても、未だその開始決定がなされていないときは、制限債権者では船舶所有者等に対しその債権につき無条件の給付判決を求めることができる。
【参照条文】 法例11
船舶の所有者等の責任の制限に関する法律(昭和57年法律第54号による改正前のもの)33
【掲載誌】 高等裁判所民事判例集47巻3号173頁
判例時報1551号86頁