公立学校教員につき給与過払による不当利得返還請求権を自働債権としその後に支払われる給与の支払請求権を受働債権としてした相殺が労働基準法24条1項本文の規定に反し許されないとされた事例
最高裁判所第2小法廷判決/昭和42年(行ツ)第61号
昭和45年10月30日
給与減額分支払請求、同反訴請求事件
【判示事項】 公立学校教員につき給与過払による不当利得返還請求権を自働債権としその後に支払われる給与の支払請求権を受働債権としてした相殺が労働基準法24条1項本文の規定に反し許されないとされた事例
【判決要旨】 公立学校教員らに対して昭和33年10月および12月に支給された給料に最高1か月分給与の27.3%、最低同じく3.8%にあたる金額の過払があり、右過払金の返還請求権を自働債権とし、昭和34年3月20日に支給されるべき同月分の給料の支払請求権を受働債権として相殺がされた場合において、右の相殺の遅れた主な原因が、その事務を担当していた県教育委員会事務局において、相殺自体をするかどうかもしくはその法律上の可否、根拠等の調査研究等に相当の日時を費し、または他の所管事務の処理に忙殺されていた点にあつたなど判示の事情があるにとどまるときは、右相殺は、いまだ労働基準法24条1項本文の規定による制限の例外として許される場合にあたらない。
【参照条文】 労働基準法24-1
民法505-1
地方公務員法25-1
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集24巻11号1693頁