年休指定に対する時季変更権の不当な行使により年休権が失効させられたことは、労働契約上の債務不履行に当たるとして、慰謝料25万円の支払を命じた原判決が維持された例
名古屋高等裁判所金沢支部判決/平成8年(ネ)第69号
平成10年3月16日
損害賠償請求控訴事件
【判示事項】 1 予定勤務割表上に時季指定等に関する何らの記載がないことをもって、時季指定がなされなかったとはいえないとされた例
2 代休を付与されるより年休を取得する方が、収入面で有利であったことが認められ、会社の、代休が付与されるのであればあえて年休の時季指定を維持しないというのが労働者の一般的な意思であるとの主張には理由がないとされた例
3 時季変更権の行使に対して異議を述べる者がいなかったことや、代替要員の確保がなされないままに勤務に就かなければ欠便が生じることが予測されるという運転係の職務の性質を考慮すると、異議を留めず就労したことを直ちに時季変更権の行使の容認、もしくは時季指定そのものの撤回と解することはできないとされた例
4 会社全体での業務量の予測があり、営業所での業務量調整も可能であったと認められる以上、系列会社から人員を採用するとの労使の合意があったにせよ、そのことが使用者として年休の時季指定がなされた場合に尽くすべき通常の配慮を尽くさなかったことや、要員不足が9か月にわたり常態化したことを正当化するものではないとされた例
5 年休指定に対する時季変更権の不当な行使により年休権が失効させられたことは、労働契約上の債務不履行に当たるとして、慰謝料25万円の支払を命じた原判決が維持された例
【掲載誌】 労働判例738号32頁