個人タクシー事業の経営許可申請に対し運輸局長がした却下処分につき、その根拠とされた収支計画要件が | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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個人タクシー事業の経営許可申請に対し運輸局長がした却下処分につき、その根拠とされた収支計画要件が道路運送法6条の審査基準とすることができない違法なものであるなどとして取り消した原判決の判断を維持し、控訴人である国の控訴を棄却した事例

 

東京高等裁判所判決/平成29年(行コ)第389号

平成30年5月24日

一般乗用旅客自動車運送事業経営許可申請却下処分取消等請求控訴事件

【判示事項】    1 個人タクシー事業の経営許可申請に対し運輸局長がした却下処分につき、その根拠とされた収支計画要件が道路運送法6条の審査基準とすることができない違法なものであるなどとして取り消した原判決の判断を維持し、控訴人である国の控訴を棄却した事例

2 前記取消訴訟と併合提起されている事業許可の義務付けの訴えにおいて、行政事件訴訟法37条の3第5項が定める本案要件の有無は却下処分時における法令を前提に判断するとした上で、本案要件が認められるとして義務付けを認めた原判決を、却下処分時における法令を前提としても却下処分は本案要件を満たさないとして取り消し、義務付けの訴えに係る請求を棄却した事例

【参照条文】    道路運送法6

          特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法(平成25年法律83号による改正前のもの)6-2

          特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適性化及び活性化に関する特別措置法14の4

          行政事件訴訟法37の3-5

【掲載誌】     判例時報2417号3頁

 Xは,道路運送法5条に基づき個人タクシー事業の経営許可申請をしたところ,同申請に係る営業区域は,平成21年特措法の下で特定地域に指定されており,関東運輸局長から,同申請が収支計画要件に該当せず,道路運送法6条2号に適合しないとしてこれを却下された(以下「本件却下処分」という。)。本件は,Xが本件却下処分の取消しを求めるとともに,個人タクシー事業の許可の義務付けを求めた事案である。