個人のHIV感染に関する情報は保護されるべきであり、事業主がその従業員についてHIV感染の有無を知る必要性は通常認められないことからすれば、事業主であっても、特段の必要性がない限り、HIV抗体検査等によってHIV感染に関する従業員の個人情報を取得し、あるいは取得しようとしてはならず、右特段の必要性もないのにHIV抗体検査を行うことはプライバシーの権利を侵害するとされた例
千葉地方裁判所判決/平成9年(ワ)第2550号
平成12年6月12日
雇用関係存在確認等請求事件
【判示事項】 1 個人のHIV感染に関する情報は保護されるべきであり、事業主がその従業員についてHIV感染の有無を知る必要性は通常認められないことからすれば、事業主であっても、特段の必要性がない限り、HIV抗体検査等によってHIV感染に関する従業員の個人情報を取得し、あるいは取得しようとしてはならず、右特段の必要性もないのにHIV抗体検査を行うことはプライバシーの権利を侵害するとされた例
2 被告会社が、定期健康診断の際に、原告の同意なくHIV抗体検査を行ったことは、原告のプライバシーを不当に侵害するとともに、感染を実質的な理由としてなされた解雇も、正当な理由を欠くものであって解雇権の濫用として無効であるとされた例
3 HIV抗体検査を実施する医療機関においては、たとえ事業主からの依頼があったとしても、本人の承諾を得ないままHIV抗体検査を行ったり、本人以外の者にその検査結果を知らせたりすることは、プライバシーの侵害に当たるとされた例
4 慰謝料として、被告会社に200万円、医療機関の経営者に150万円の支払いが命じられた例
5 本件雇用契約につき、期間を1年間とし更新されない限りは期間満了により終了する性質のものとされ、会社による満了2か月前の更新拒絶通知により雇用契約は終了したと認定されたが、解雇による原告の就労不能を使用者の責に帰すべきものとして期間満了による終了までの9か月分の賃金請求権が認容された例
【掲載誌】 労働判例785号10頁