タクシー事業を営む被告Y社と1年の期間雇用契約を締結し,複数回の更新を重ねていた原告Xらが雇止めをされた件につき,本件雇止めは,解雇であれば解雇権濫用法理により無効とすべきものということができるとされた例
札幌地方裁判所判決/平成22年(ワ)第2021号
平成23年7月6日
地位確認等請求事件
【判示事項】 1 タクシー事業を営む被告Y社と1年の期間雇用契約を締結し,複数回の更新を重ねていた原告Xらが雇止めをされた件につき,本件雇止めは,利益の向上の見込みがあるとした判断に合理的裏付けが欠けていたうえ,タクシー新法による減車の時期や台数が不確定な中,自然退職者が出ることを一切考慮せずに行われたものであり,必要性と合理性を欠くものであったといえることから,本件雇止めは,解雇であれば解雇権濫用法理により無効とすべきものということができるとされた例
2 Xらの労働契約が,期間1年の有期雇用であるとのY社主張を前提としても,解雇権濫用法理の類推によって,XらとY社との契約期間満了後における法律関係は,従前の労働契約が更新されたのと同様のものとなり(本件雇止め後,再度契約期間が満了した後においても同様),したがって,XらとY社とは,定時制乗務員としての地位を現在まで継続して有していることとなり,本件雇止め以降の得べかりし賃金についても,無効な本件雇止めをしたY社において責めに帰すべき事由があるので,これを請求することができる(民法536条)とされた例
3 Xらの請求のうち,労働契約上の地位確認については全部理由があるとして認められ,賃金請求については一部認容された例
【掲載誌】 労働判例1038号84頁