株主名簿閲覧謄写請求をした株主が、相手方たる株式会社と実質的な競業関係にある者であっても、当該請求が株主としての権利の確保または行使に関する調査の目的でしたものであることを証明すれば、会社法125条3項3号の拒否事由に該当しないとされた事例
東京高等裁判所決定/平成20年(ラ)第844号
平成20年6月12日
株主名簿閲覧謄写仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
【判示事項】 1 株主名簿閲覧謄写請求をした株主が、相手方たる株式会社と実質的な競業関係にある者であっても、当該請求が株主としての権利の確保または行使に関する調査の目的でしたものであることを証明すれば、会社法125条3項3号の拒否事由に該当しないとされた事例
2 株主名簿閲覧謄写を求める仮処分の申立てに保全の必要性があるとされた事例
【判決要旨】 1 会社法125条3項の定める株主名簿閲覧謄写請求の拒否事由のうち、1号(権利の確保または権利行使に関する調査以外の目的での請求)および2号(業務の遂行を妨げ、または株主の共同の利益を害する目的での請求)は、権利の濫用が許されない以上、当然のことを定めたにとどまるが、株式会社が当該請求者について上記の事由に該当することを証明することは容易でないこと、実質的競争関係にあれば上記の事由に該当すると推定することにも一定の合理性があることにかんがみ、3号(実質的競争関係)は、これに該当すれば、当該請求者が、権利の確保または行使に関する調査の目的で請求を行ったことを証明しない限り、これを拒むことができる旨(証明責任の転換)を定めたものと解される。
2 株主提案権に基づき株主総会に株主提案をした株主が、相手方たる株式会社の株主の賛成を求めて委任状勧誘を行うことを目的として株主名簿閲覧謄写請求をしたことにつき、相手方が株主提案理由を株主総会招集通知に掲載し、当該請求者が株主に対して送付を希望する資料を相手方において2回送付するとの便宜を図る旨を約束していたとしても、委任状勧誘を働きかける方法としては制約されたものにすぎないから、株主名簿閲覧謄写の仮処分命令の申立てには保全の必要性があるとされた事例
【参照条文】 会社法125-3
民事保全法23-2
【掲載誌】 金融・商事判例1295号12頁
商事法務1836号45頁