株式会社の株式を共同相続した相続人の1人が他の相続人と株式を遺産共有する状態で株式の権利の確保もしくは行使に関する調査として当該会社の会計帳簿等の閲覧謄写等の仮処分を求めたのに対し保全の必要性がないとされた事例
東京高等裁判所決定/平成13年(ラ)第金判号
平成13年12月26日
株主名簿閲覧謄写等仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
【判示事項】 株式会社の株式を共同相続した相続人の1人が他の相続人と株式を遺産共有する状態で株式の権利の確保もしくは行使に関する調査として当該会社の会計帳簿等の閲覧謄写等の仮処分を求めたのに対し保全の必要性がないとされた事例
【判決要旨】 株式会社の株式を共同相続した相続人の1人が、他の相続人と株式を遺産共有する状態で株式の権利の確保もしくは行使に関する調査として、相続税軽減措置の適用のために早期に遺産分割協議を進める前提として株式の価値を知り、あるいは、グループ企業の不正行為を調査・防止することを目的として、当該会社の会計帳簿の閲覧謄写等を求めたとしても、早期の遺産分割協議成立などのために、また、申立人主張の不正行為の疎明がない本件においては、本案訴訟の結果を待たずにいわゆる満足的保全処分を認めるに足りる緊急の保全の必要性は認められない。
【参照条文】 商法293の6
商法293の7
民事保全法23-2
【掲載誌】 金融・商事判例1140号43頁
【解説】
1 本件は、化粧品の製造・販売を中核とするグループ企業の各社に対し、各社の株式を所有していたA(同グループ創業者一族の2代目)が死亡したため、その妻であるXが当該株式を法定相続したことに基づき、グループ企業各社の株主総会議事録および計算書類等の閲覧謄写の仮処分のほか、会計帳簿等の閲覧謄写等の仮処分を申請した一連の事件の1つである(後掲のとおり、本件も含め6件ある)。原審において前者の閲覧謄写の仮処分については認められたものの、後者の会計帳簿の閲覧謄写に関しては申立てか却下されたため、Xが後者に関し抗告した事案である。
2 本件においては、(1)被保全権利の存否の問題として、(1)遺産共有の状態のままで少数株主権である会計帳簿等閲覧請求権(商法293条ノ6)などが行使できるか、(2)閲覧請求の拒否事由としての商法297条ノ7に規定する「株主ガ株主ノ権利ノ確保若ハ行使二関シ調査ヲ為ス為二非ズ」に該当するか否か、(2)保全の必要性が認められるか否かが主として問題になった。これに関しては、Xが別のグループ企業会社に対し、本件と同様に、会計帳簿の閲覧謄写等を求める仮処分を求めた事件において、原審が閲覧拒否事由があり、保全の必要性も認められないとしたのに対し、閲覧拒否事由はなく、保全の必要性があるとして申立てを認容した高裁決定がある(東京高決平成13・9・3金判1136号22頁)。
3 本件においても上記決定と同様に、保全の必要性に関し、Xは次のとおり主