労働者派遣契約に基づき派遣されたものが無断欠勤により派遣先会社のソフト開発の遅延をもたらしたこと | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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労働者派遣契約に基づき派遣されたものが無断欠勤により派遣先会社のソフト開発の遅延をもたらしたことについて派遣会社の債務不履行に基づく損害賠償義務が認められた事例

 

東京地方裁判所判決/平成8年(ワ)第15641号

平成9年12月26日

派遣料請求本訴・損害賠償請求反訴事件

【判示事項】    労働者派遣契約に基づき派遣されたものが無断欠勤により派遣先会社のソフト開発の遅延をもたらしたことについて派遣会社の債務不履行に基づく損害賠償義務が認められた事例(過失相殺7割)

【参照条文】    民法415

          民法418

          労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律26

【掲載誌】     判例タイムズ1011号178頁

【解説】

 Xは労働者の派遣を主たる業務とする会社であり、Yはコンピューターソフトの開発等を主たる業務とする会社であるところ、Xは平成6年7月5日にYとの間で締結した労働者派遣契約に基づき、同月11日以降、YのもとにAを派遣した。Xは、Yから同年9月分の派遣料の支払いを受けていないとして58万9306円の支払を求める訴えを提起した。これに対しYは、Aにコンピューターソフトの開発をさせたところ、同人は同年9月に入るとすぐに無断欠勤を重ね、それに引き続いて出杜を拒否したので、Aのソフト開発を続行するため、代替要員を充てなければならず、余分な人件費を負担せざるを得なくなり、合計210万円を超える損害を被ったとして、Xの本訴請求に係る派遣料58万9306円と煉当額で相殺し、その残額151万0694円の支払を求めるべく反訴を提起した。

 本判決は、Aが多額の負債のため無断欠勤をしたものと認め、XとしてAが複数回にわたって給料の前借りをしていたのであるから、前借りの理由を問い質し、借財の状況等について解明すべきであり、そうすればAの置かれた状況を多大な困難を伴うことなく知ることができたとし、Yが210万円の損害を被ったと認定したが、Yにおいて、コンピューターソフト開発の注文があると人材派遣会社に技術者の派遣を求めてその者に任せきりにし、業務執行について指導監督をほとんどしておらず、Aの私生活の乱れについて、日常接触の多いYこそいち早く発見すべきであったのに発見できなかったとして、過失相殺によりその3割の63万円について損害賠償を請求し得るとして、相殺の結果、Xの本訴請求を棄却し、残額40万0964円についてYの反訴請求を認容した。

 本件は、労働者派遣契約に基づき派遣された労働者の行状(無断欠勤)が債務不履行に当たるとされた事例であるが、派遣された労働者の業務内容がコンピューターソフトの開発であったから、債務不履行による損害の発生が容易に想定される事案であったといえよう。