法人税青色申告についてした更正通知書の更正の理由中、係争事業年度の交際費について、「支出を確認する証拠書類がなく、かつ、これを裏付ける事実も確認できない」等の記載されているにすぎない場合でも、帳簿書類の記載自体が不明確であり、また、信ぴょう性を欠いている場合には、理由附記として不備であるとはいえないとした事例
東京地方裁判所判決/昭和51年(行ウ)第27号
昭和53年4月24日
法人税等課税処分取消請求事件
【判示事項】 法人税青色申告についてした更正通知書の更正の理由中、係争事業年度の交際費について、「支出を確認する証拠書類がなく、かつ、これを裏付ける事実も確認できない」等の記載されているにすぎない場合でも、帳簿書類の記載自体が不明確であり、また、信ぴょう性を欠いている場合には、理由附記として不備であるとはいえないとした事例
【判決要旨】 (1) 法人税法第130条第2項が、青色申告書に係る法人税の課税標準等の更正をする場合には更正通知書にその理由を附記しなければならないとしているのは、更正処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものと解される。
(2) 省略
(3) 支払手数料中建物取得価額に算入すべき額を按分計算するのに際し、3、470、702/25、529、298を乗じているのは、3、470、702/29、000、000を乗じるのが正当というべきであるが、右計算方法の誤りは更正の理由附記の不備の問題とは別個の問題であり、支払手数料のうち按分計算により建物取得価額に算入されるべき額を算出すべき旨が示されている以上、附記理由としては十分なものというべきである。
(4) 帳簿書類の記載を否認して更正する場合にはその根拠を右帳簿書類の記載以上に信憑力のある資料を摘示することによって具体的に明示することを要すると解されるにしても、更正処分庁において積極的に帳簿書類に現われていない事実を認定し、これに基づいて更正する場合はともかくとして、本件のように、帳簿書類の記載自体が明確さを欠いており(すなわち、支出先が「来客」又は「神田店主任の諸経費」と記載されているだけでは、支出の相手方及び支出の目的が明確とはいえない。)、もともとその信憑性に疑問があり、当該帳簿書類の記載を裏付けるに足りる資料が存在しないことを理由に、右記載を否認して更正する場合に、逆にその否認の根拠につき資料を摘示せしめることは不可能を強いるものであって、かかる場合には、附記すべき理由中に、当該記載を裏付けるに足りる資料が存在しない等の理由を示すをもって足り、これ以上に何らかの資料の摘示まで要求されているものではないというべきである。
(5) 1般に建物はその敷地の使用権を伴ってはじめて経済的価値を有するものであるから、特段の合理的な事情が存在しない限り、建物の譲渡がなされた場合には、その敷地の使用権も当該建物の1体として譲渡されたものと認めるのが相当であると解せられるところ、本件の場合、本件売買契約書において、その表題が「借地権付建物売買契約書」と表示されていること、売買物件表示欄に本件建物のほか「1、宅地107・91平方メートル 但し借地権」と明記されていること、契約条項第5条に、賃貸借名義の変更に伴う地主の承諾に関する売主の義務を定めていること、同第14条に、右第5条の義務に関する特約を定めていることが認められ、これによると本件借地権が本件売買の対象となっており、原告が同売買により本件建物とともにこれを取得したことは明らかである。
(6) 本件建物敷地が収用された場合には借地権についても損失の補償がなされることは、土地収用法第68条、第71条の規定に照らし明白であるから、仮に収用が予定されている土地に係る借地権であっても無価値とはいえないのみならず、少くとも収用がされるまでの間はその土地の使用が可能であるから、その使用権が価値を有することは明白である。そして、原告は本件建物取得に際し、敷地の使用権が伴っていることを当然のこととして認識していたものと認められるのであって、本件建物敷地が収用を予定されている土地であるから、本件借地権価額が0であるとする原告の主張は失当である。
(7) 原告が地主に対しいかなる金額の賃料を支払っているにしても、それは賃借人・賃貸人間の関係であり、そのことと借地権譲渡人・同譲受人間において借地権対価の授受がされたか否かとは別個の問題であるのみならず、本件借地権に係る賃料は近燐のそれに比して若干高額であるが、それは本件建物が鉄骨造りであることによるものであり、従前の賃借人が支払っていた額と変わらないものであることが認められ、右賃料額が借地権の譲渡価額に影響を及ぼすほどの高額なものとはいえない。なお法人税法施行令第137条の規定は、借地権等の設定等に伴い授受される権利金に対する課税に関する規定であって、同条を反対解釈してみたところで原告の主張の根拠たりうるものではない。
(8) 省略
(9) 法人税法施行令第54条第1項は、減価償却資産の取得価額の範囲について、その取得の態様に応じて規定しているが、右規定は公正妥当な会計慣行を明文化したものにすぎないものと解せられるところ、同施行令には非減価償却資産の取得価額の範囲についての規定は存在しないけれども、公正妥当な会計慣行を斟酌すれば、非減価償却資産の取得価額の範囲についても減価償却資産のそれに関する右規定を類推適用するのが相当である。
(10) 省略
(11) 省略
【掲載誌】 行政事件裁判例集29巻4号555頁
訟務月報24巻7号1515頁
税務訴訟資料101号169頁