京都地方裁判所判決/平成20年(ワ)第3967号
平成22年9月15日
損害賠償請求事件
【判示事項】 菓子製造工場の発する騒音及び悪臭は違法であるとして,近隣住民の損害賠償請求が一部認容された事例
【参照条文】 民法709
民法710
【掲載誌】 判例タイムズ1339号164頁
判例時報2100号109頁
主 文
1 被告会社は,原告住民ら各自に対し,16万5000円及びこれに対する平成20年7月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告住民らの被告会社に対するその余の請求及び被告市に対する請求を棄却する。
3 原告会社の請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用は,原告住民らに生じた費用の40分の3及び被告会社に生じた費用の23分の3を被告会社の負担とし,原告住民らに生じた費用の40分の37,被告会社に生じた費用の23分の17及び被告市に生じた費用の23分の20を原告住民らの負担とし,原告会社に生じた費用,被告会社に生じた費用の23分の3及び被告市に生じた費用の23分の3を原告会社の負担とする。
5 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
【解説】
1 Yは,菓子の製造,販売等を業とする株式会社であるところ,平成17年2月から,平成20年6月まで京都市南区A町所在の工場において,操業を行ってきたが,その近隣に居住する住民Xらが,前記操業による騒音及び悪臭によって,精神的損害又は財産的損害を被ったとし,不法行為に基づき,Yに対して損害賠償を請求した。
これに対し,Yは,工場における操業から発する騒音,悪臭は,近隣住民の受忍限度を超えるものではなく,不法行為は成立しないなどと主張した。
2 本判決は,Yの工場の操業により一定程度の騒音及び臭気が発生したことが認められるとした上,Yの工場の操業が建築基準法に違反していること,市の違法状態是正の行政指導を軽視し是正措置を講じなかったこと,Yの工場からの騒音が,公法上の規制基準を超えていたということができないが,長期間の騒音及び臭気は,Xら住民らの受忍限度を超えていたと判断し,Yの不法行為責任を肯認し,Xらの本訴請求を一部認容した。
なお,Xらは,行政庁である京都市に対しても,行政権限の不行使に違法があったとして,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償を請求したが,本判決は,京都市は,Yに対して,違法状態解消のための行政指導を行い,使用制限命令を発令し(新工場への移転が行われて,違法状態が解消され)たなどとし,権限不行使の違法を否定して,同市への請求を棄却した。