ナルコ株式会社・損害賠償請求事件・外国人研修生 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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名古屋地方裁判所判決/平成22年(ワ)第7512号

平成25年2月7日

損害賠償請求事件

【判示事項】    1 外国人研修生であった原告Xに生じた右示指切断事故につき,第二次受入機関である被告Y社に,機械に安全装置を取り付けず,日本語をほとんど理解できないXに十分な安全教育を行わなかった点で安全配慮義務違反が認められるとして,2割の過失相殺をしたうえで,不法行為による損害賠償請求が認容された例

2 外国人の逸失利益算定に当たっては,帰国後は本国での収入等を基礎として算定するのが相当であり,Xの本国の将来の経済成長率を正確に判断することは不可能であるから日本の賃金センサスを基礎とすることは認められないが,一切の事情を総合考慮すると,その基礎収入は賃金センサスの男性労働者平均賃金の25%とするのが相当であるとされた例

3 損害賠償に関する和解成立の主張につき,残損害金があってもXはその請求権を放棄するという合意を含むものであれば,その実体的効果に鑑みると被害者であるXが合意したという事実については慎重に検討すべきものであるところ,書面作成もなく,示談の意味をXにきちんと理解させたうえで同意を得たことに関する具体的な裏付けもないから,成立を認める証拠がないとされた例

4 第二次受入機関であるY社は,Xを研修生として処遇し,工員として必要な知識・技術を習得させるという意図は全くなく,Xによる労務の提供それ自体を目的にXを研修生という名目で受け入れ,Y社の指揮監督の下でXに対し労務の提供を行わせ,Xに対し支払われた研修手当・残業代金もかかる労務の提供の対価として支払われたものと評価することができるから,Xは,研修期間中も労基法上の労働者として最低賃金法の適用を受けるところ,最低賃金を下回る賃金でXを残業させたことは不法行為に当たるとされた例

5 Xに対する住居費控除につき,日本人従業員よりも高い金額を控除する取扱いは不平等なものであって合理性を欠き,労基法3条に反するというべきであるから,合理性を欠く部分は公序良俗に反するとされた例

【掲載誌】     労働判例1070号38頁

       主   文

 1 被告は,原告に対し,538万4819円及びこれに対する平成20年5月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 2 被告は,原告に対し,35万8226円及びこれに対する平成21年3月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 3 被告は,原告に対し,14万5500円及びこれに対する平成22年1月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。

 5 訴訟費用は,これを5分し,その4を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。

 6 この判決は,1項ないし3項に限り,仮に執行することができる。