α市の斎場建設計画で用地取得に過大な費用を支出し,市に損害を与えたとして,同市が前市長に対し適正額との差額相当額などの損害賠償を請求し,認容された事例
名古屋高等裁判所判決/平成25年(ネ)第809号、平成26年(ネ)第26号
平成26年6月6日
損害賠償請求控訴,同附帯控訴事件
【判示事項】 α市の斎場建設計画で用地取得に過大な費用を支出し,市に損害を与えたとして,同市が前市長に対し適正額との差額相当額などの損害賠償を請求し,認容された事例
【掲載誌】 判例時報2233号116頁
LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 不動産鑑定54巻2号45頁
主 文
1 控訴人の本件控訴を棄却する。
2 被控訴人の附帯控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。
3 控訴人は,被控訴人に対し,2億4941万4130円及びこれに対する平成23年4月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 訴訟費用は第1,2審とも控訴人の負担とする。
5 この判決は,第3項に限り仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 控訴人の控訴の趣旨
(1) 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
(2) 上記取消しに係る被控訴人の請求を棄却する。
(3) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
2 被控訴人の附帯控訴の趣旨
主文2項ないし5項同旨
第2 事案の概要
1 本件は,普通地方公共団体である被控訴人が,斎場建設のため,土地所有者との間で土地の売買契約を締結し,建物所有者との間で建物移転の補償契約を締結したことにつき,当時の市長であった控訴人が適正な価格を超える代金額及び補償額で契約を締結したことが違法であり,被控訴人が上記各契約に基づき平成23年4月28日に上記契約当事者である土地及び建物所有者に支払った金員(遅延損害金を含む。)のうち,適正価格を超える部分2億4941万4130円(売買契約につき1億5720万円,補償契約につき6325万3221円,これらに対する平成20年9月12日から平成23年4月28日までの確定遅延損害金2896万0909円)相当の損害を被ったと主張して,控訴人に対し,不法行為に基づく損害賠償請求として,2億4941万4130円及びこれに対する上記支払日の翌日である同月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
原審は,売買契約について,控訴人が,適正な価格を上回る代金額で契約を締結したことには少なくとも重大な過失があり,被控訴人は,支払済みの代金額と適正価格(及び控訴人が損害賠償として被控訴人に支払済みの金員の合計額)との差額である1億5720万円の損害を被ったとしたが,補償契約については,補償額は正当な価格を超えるが,控訴人に裁量権の逸脱又は濫用も,故意又は過失も認め難いとして,上記1億5720万円及びこれに対する平成20年9月12日から平成23年4月28日までの年5分の割合による確定遅延損害金2065万1342円及び1億5720万円に対する同月29日以降の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で請求を認容し,その余の請求を棄却した。そこで,控訴人が上記認容部分を取り消して被控訴人の請求を棄却することを求めて控訴し,被控訴人は,附帯控訴し,上記棄却部分を取り消して請求全額を認容することを求めた。