最高裁判所第1小法廷判決/平成5年(オ)第1507号
平成5年12月16日
不正競争行為差止請求事件
【判示事項】 第3者の使用により特定の営業主体の営業の表示として広く認識されるに至った表示と不正競争防止法1条1項2号
【判決要旨】 不正競争防止法1条1項2号にいう広く認識された他人の営業の表示には、第3者の使用により特定の営業主体の営業の表示として広く認識されるに至ったものが含まれる。
【参照条文】 不正競争防止法1-1
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事170号775頁
裁判所時報1113号6頁
判例タイムズ835号148頁
判例時報1480号146頁
【解説】
1 本件は、不正競争防止法1条1項2号に基づき営業表示の使用の差止めと商業登記中の商号の抹消登記手続を求めた事案である。
X(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド)は、1850年に創立された米国法人であって、クレジットカードサービス及び旅行小切手の発行等の旅行関連サービスを含む総合的金融サービス事業を世界的に展開するアメリカン・エキスプレス企業グループの1員である。
Xは、大正6年に横浜に事務所を開設し、昭和29年には日本支店を開設して、日本国内において多くの旅行用小切手を販売し、昭和55年以降は日本国内でのクレジットカード発行を行っている。
Y(株式会社アメツクス・インターナシヨナル)は、昭和55年1月に設立登記された株式会社であり、右設立以来、「アメツクス・インターナシヨナル」「アメックス・インターナショナル」「アメックス」及びY商号を使用して、主として広告代理業及び不動産業を営んでいる。
本件は、Xが、Yの使用する「アメツクス・インターナシヨナル」「アメックス・インターナショナル」「アメックス」の表示及びY商号、そして、Yが将来営業表示として使用するおそれがある「アメツクス・インターナショナル」「アメックス・インターナシヨナル」「アメツクス」の表示(以下、Y商号以外の前記各表示を総称して「Y表示」という。)は、いずれも、Xの営業であることを示す表示として広く認識されている「アメックス」なる表示(以下「X表示」という。)と類似するもので、営業主体の混同を生じさせ、Xの営業上の利益を害するおそれがあるとして、Y表示の使用の差止めとY商号の抹消登記手続を請求したものである。