システムエンジニア(SE)について,Yが行っていたプログラミング業務は,専門業務型裁量労働制の要 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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システムエンジニア(SE)について,Yが行っていたプログラミング業務は,専門業務型裁量労働制の要件を満たしていない,また,Yは管理監督者には当たらないとした一審判決が維持された例

 

大阪高等裁判所判決平成24年7月27日

エーディーディー事件

損害賠償請求,時間外手当等反訴請求,損害賠償等請求控訴事件

 従業員に対する損害賠償請求と割増賃金請求の反訴

【判示事項】 1 原告X社に勤務していた被告Yが,労働契約上の義務違反(業務の不適切実施等)により会社に損害を与えたとして,X社がYに対し,債務不履行による損害賠償請求をしたことにつき,Yに故意または重過失は認められず,売上減少,ノルマ未達等は報償責任・危険責任の観点から本来的に使用者が負担すべきリスクであると考えられること等からすると,Yに対する損害賠償請求は認められないとした一審判断が維持された例

2 システムエンジニア(SE)について,Yが行っていたプログラミング業務は,専門業務型裁量労働制の要件を満たしていない,また,Yは管理監督者には当たらないとした一審判決が維持された例

3 YからX社に対する時間外手当の支払請求につき,一審の示した金額を一部変更して支払請求が認められた例

4 YからX社等に対する,時間外手当の未払いやYのうつ病発症などを理由としてなされた損害賠償請求につき,X社での業務における過度の心理的な負荷(売上目標の不達成,上司とのトラブル,2か月間の間に1か月当たり150時間を超える長期の時間外労働等)を原因としてうつ病を発症・悪化させたとして,安全配慮義務違反によるX社の損害賠償責任が肯定された例

【参照条文】 労働基準法38の3-1

       労働基準法施行規則24の2の2-2

【掲載誌】  労働判例1062号63頁