市立学校職員に対し、定期健康診断におけるエックス線検査の受検命令を拒否したことが地方公務員法29条1項1号及び2号所定の懲戒事由に当たるとしてされた減給処分が、適法とされた事例
名古屋高等裁判所判決/平成8年(行コ)第14号
平成9年7月25日
懲戒処分取消請求控訴事件
【判示事項】 1、市立学校職員に対し、定期健康診断におけるエックス線検査を受検しなかったことが地方公務員法29条1項1号所定の懲戒事由に当たるとしてされた減給処分が、適法とされた事例
2、市立学校職員に対し、定期健康診断におけるエックス線検査の受検命令を拒否したことが地方公務員法29条1項1号及び2号所定の懲戒事由に当たるとしてされた減給処分が、適法とされた事例
【判決要旨】 1、市立学校職員に対し、定期健康診断におけるエックス線検査を受検しなかったことが地方公務員法29条1項1号所定の懲戒事由に当たるとしてされた減給処分について、学校保健法(昭和33年法律第56号)には教職員の受診義務を定めた規定はないが、教職員は結核予防法4条1項の健康診断の対象者であるから同法7条1項の受診義務を負い、かつ、労働者として労働安全衛生法66条5項の受診義務を負うところ、これらの規定は、労働者に対し、健康診断による利益を享受する立場からこれに協力すべき責務としてのみならず、職務遂行上の義務としても受診義務を課しているものと解されるとした上、前記職員がエックス線検査を受検しなかったことは、前記懲戒事由に当たるとして、前記減給処分を適法とした事例
2、市立学校職員に対し、定期健康診断におけるエックス線検査の受検命令を拒否したことが地方公務員法29条1項1号及び2号所定の懲戒事由に当たるとしてされた減給処分について、学校職員はその職務を遂行するに当たり職務命令に従うべき義務を負っているが、エックス線検査は、受診者の身体に対し危険、有害である場合もあり得ることからすると、同命令に従うべき職務上の義務が肯定されるためには、同命令の医学的相当性、代替し得る他の検査の受検の有無等を総合的に考慮して判断すべきであるとした上で、本件エックス線検査による放射線暴露は非常にわずかであること、本件当時には、胸部エックス線集団検診の必要性は当然存在していたと推認されること、前記職員が受診したかく痰検査の信頼性はそれほど高くなく、エックス線診断に代替できるものではないこと等を併せ考えると、同職員には前記受検命令に従うべき職務上の義務があったというべきであり、これを拒否したことは前記懲戒事由に該当するとして、前記減給処分を適法とした事例
【参照条文】 地方公務員法29-1
学校保健法8-1
労働安全衛生法66-1
労働安全衛生法66-5
労働安全衛生規則44-1
結核予防法7-1
【掲載誌】 労働関係民事裁判例集48巻4号293頁