質問検査権の行使には第三者を立ち会わせないと応じられないとする納税者に対する青色申告承認の取消処 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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質問検査権の行使には第三者を立ち会わせないと応じられないとする納税者に対する青色申告承認の取消処分と消費税について仕入れ税額控除をしないでされた更正処分等が是認された事例

 

東京高等裁判所判決/平成19年(行コ)第129号

平成19年10月31日

消費税更正処分等取消請求控訴事件

【判示事項】    質問検査権の行使には第三者を立ち会わせないと応じられないとする納税者に対する青色申告承認の取消処分と消費税について仕入れ税額控除をしないでされた更正処分等が是認された事例

【判決要旨】    (1) 消費税法62条(当該職員の質問検査権)及び法人税法153条(当該職員の質問検査権)は、質問検査権について規定しているが、質問検査の範囲、程度、時期、場所等実定法上特段の定めのない実施の細目については、質問検査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまる限り、権限ある税務職員の合理的な選択にゆだねられているというべきである(最高裁判所昭和45年(あ)第2339号同48年7月10日第三小法廷決定・刑集27巻7号1205頁参照)。そして、質問検査権に基づく税務調査に際し第三者の立会いを認めなければならない旨を定めた法令上の規定はなく、税務職員が帳簿書類等の検査をするに当たって、第三者の立会いを認めるか否かも、第三者の帳簿書類等への関与の程度、態様、その他予定する調査の必要性との関連性の程度、また、守秘義務などの税務職員の遵守すべき法令上の義務との関係など諸般の事情に応じた、当該税務職員の前記の合理的な選択にゆだねられていると解するのが相当である。

          (2)~(5) 省略

          (6) 事業者が、消費税法施行令50条(課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の保存期間等)1項の定めるとおり、消費税法30条(仕入れに係る消費税額の控除)7項に規定する帳簿等を整理し、これらを所定の期間及び場所において、同法62条(当該職員の質問検査権)に基づく税務職員による検査に当たって適時にこれを提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合は、同法30条7項にいう「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合」に当たり、事業者が災害その他やむを得ない事情により当該保存をすることができなかったことを証明しない限り(同項ただし書)、同条1項の規定は、当該保存がない課税仕入れに係る課税仕入れ等の税額については、適用されないというべきである(最高裁判所平成13年(行ヒ)第116号同16年12月16日第一小法廷判決・民集58巻9号2458頁、最高裁判所平成16年(行ヒ)第37号同年12月20日第二小法廷判決・裁判集民事215号1005頁参照)。

          (7)・(8) 省略

          (9) 法人税法126条(青色申告法人の帳簿書類)1項は、青色申告の承認を受けた法人に対し、財務省令で定めるところにより、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録すべきことはもとより、これらが行われていたとしても、さらに、税務職員が必要と判断したときにその帳簿書類を検査してその内容の真実性を確認することができるような態勢の下に、帳簿書類を保存しなければならないこととしているというべきであり、法人が税務職員の同法153条(当該職員の質問検査権)の規定に基づく検査に適時にこれを提示することが可能なように態勢を整えて当該帳簿書類を保存していなかった場合は、同法126条1項の規定に違反し、同法127条(青色申告承認の取消し)1項1号に該当するものというべきである(最高裁判所平成16年(行ヒ)第278号同平成17年3月10日第一小法廷判決・民集59巻2号379頁参照)。

          (10) 省略

          (11) 申告納税方式の下では、納税義務者のする申告が事実に基づいて適正に行われることが肝要であり、必要に応じて税務署長等がこの点を確認することができなければならず、そのために帳簿の保存が義務づけられ(消費税法58条)、税務職員は帳簿書類を検査して税務調査を行うことができ(同法62条)、これを拒むなどした者に対しては罰則が定められている(同法68条1項)のであって、このような申告納税制度の仕組みに照らすと、消費税法30条7項は、当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除にかかる帳簿等が税務職員による検査の対象となり得ることを前提にしており、税務職員がそのいずれかを検査することにより課税仕入れの事実を調査することが可能であるときに限り、同条1項を適用することができることを明らかにするものと解される(最高裁判所平成16年12月16日判決参照)。消費税法30条7項のこのような趣旨に照らすならば、単に税務職員が帳簿等の存在を確認できるだけでは帳簿等の保存のあり方としては不十分であり、税務職員による検査に当たり、適時に帳簿等の記載内容の正確性が確認可能になるように態勢を整えて保存していなかった場合には、同条にいう帳簿等を保存しない場合に当たるものというべきである。そして、法人税法127条1項1号の解釈についても、以上と同様に考えられる(最高裁判所平成17年3月10日判決参照)。

          (12)~(17) 省略

【参照条文】    法人税法126-1(平19法6号改正前)

          法人税法127-1(平13法129号改正前)

          法人税法153(平13法129号改正前)

          消費税法30-7(平12法26号改正前)

          消費税法62(平13法129号改正前)

【掲載誌】     判例タイムズ1280号149頁

          税務訴訟資料257号順号10813