食品衛生法58条2項所定の調査と抗告訴訟の対象 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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東京高等裁判所判決/平成28年(行コ)第47号

平成28年7月21日

食品衛生法に基づく水俣病の法定調査等の義務付け行政訴訟等請求控訴事件

【判示事項】    食品衛生法58条2項所定の調査と抗告訴訟の対象

【判決要旨】    食品衛生法58条2項所定の調査は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。

【掲載誌】     LLI/DB 判例秘書登載

       主   文

 1 本件各控訴を棄却する。

 2 控訴費用は控訴人の負担とする。

事案の概要

 1 本件は,熊本県水俣市在住の控訴人(原告)が,控訴人を含む水俣病患者の発生につき,被控訴人熊本県に所属する水俣保健所長及び天草保健所長において,食品衛生法所定の調査及び熊本県知事への報告をせず,同被控訴人に所属する熊本県知事において,同法所定の厚生労働大臣(旧厚生大臣)への報告をせず,被控訴人国に所属する厚生労働大臣において,同法所定の熊本県知事に対する調査及び報告の求めをしてこなかったことは,それぞれ違法であり,控訴人はこれらにより精神的苦痛を被ったと主張して,(1)各関係被控訴人に対し,①行政事件訴訟法37条の2に基づき,これらの調査若しくは報告又はその求めをすることの義務付け(本件各義務付け請求)及び②行政事件訴訟法上の当事者訴訟として,これらの調査若しくは報告又はその求めをしないことが違法であることの確認(本件各違法確認請求)を求めるとともに,(2)被控訴人らに対し,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料1000万円の一部として10万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払(本件国賠請求)を求めた事案である。

   原審は,本件訴えのうち,本件各義務付け請求及び本件各違法確認請求に係る部分は不適法であるとしてこれを却下し,本件国賠請求は理由がないとしてこれを棄却した。これに対し控訴人が控訴した。